祇園囃子が響く街
7月は京都にとって特別な1カ月だ。この1カ月、中京の街で祇園祭にまつわるさまざまな行事が行われる。
祇園祭といえば、7月17日の山鉾巡行がよく知られている。ほかに宵山、宵々山もそこそこ知られているかもしれない。だけど、祇園祭が1カ月も続くお祭りだということはどれぐらいの人が知っているのだろう。私自身、京都に関心を持つまでそんなことはまったく知らなかった。
祇園祭は7月1日の吉符入りに始まる。同じ日、長刀鉾に乗るお稚児さんが八坂神社にお参りする「長刀鉾町お千度」という行事も行われる。2日は京都市役所で「くじ取り式」が行われ、7月17日の山鉾巡行の順番が決まる。
祇園祭の口火が切られたころ、各山鉾町では祇園囃子の稽古が始まる。稽古は各町会所の2階で行われるため「二階囃子」ともいわれる。この時期、夜に山鉾町を歩いていると、あちこちから祇園囃子が聞こえてくる。立ち止まって、思わず耳をかたむけたくなる、情緒あふれる京の宵だ。
写真は昨年見学した放下鉾の二階囃子。小学生から年配者まで一堂に会してお囃子を練習する。子どもたちは町会所にやってくると、まず大人に「こんばんは」と手をついてあいさつする。忘れかけていた行儀作法が、ここではまだ受け継がれている。
祇園囃子のお稽古が始まる。素人には同じように聞こえる祇園囃子だが、地ばやし、戻り上げ、乱れ獅子、三、五、神楽、旭など、さまざまな曲がある。楽器は太鼓と鉦と笛。鉦は若い人の担当だ。二十歳ぐらいの若者が小学生の横について、稽古を見てやっている。上の世代から、下の世代へ、こうやって伝統が伝えられていく。
同じころ、女性たちは宵山で配るちまきの準備に忙しい。「蘇民将来之子孫也」と書かれたちまきは魔よけの印。軒につるしておくものだ。上賀茂の農家で土台が準備され、各山鉾町や八坂神社でお札が付けられる。
祇園祭が始まると梅雨の終わりも近い。夏はいよいよ本番だ。京都には煎られるような暑さがやってくる。
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