カテゴリー「グルメ・クッキング」の記事

貴船 鳥居茶屋のあゆ茶漬け

7月の京都は31日間ずっと真夏日だったそうだ。イヤもう、本当に暑さ真っ盛り。京都市内にいる限り、この暑さからのがれるすべはなさそうだ。ただ、少し救いがあるのは緑の多い山沿いに行けば多少涼しくなること。

貴船はその好例だ。道は青紅葉に覆われ、せせらぎの音が耳に心地よい。杉林を渡る風が頬にさわやかだ。

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貴船の夏の風物詩といえば、川床料理。川の上に渡した川床の上で鮎をはじめ旬の食材を使った会席料理をいただく。川を吹き抜ける風は、ひときわ涼しく感じる。裸足になって足を浸すのも心地よい。

だけど、川床料理はやっぱりそれなりのお値段だ。気軽にひとりランチ、というわけにはいかない。流しそうめんなら1200円から食べられるけど、お腹いっぱいにはならない。これから鞍馬まで歩こうという身にはちょっと物足りなく思えた。

そこで目に止まったのが鳥居茶屋。誰かがここのあゆ茶漬けをすすめてくれたっけ。あゆ茶漬けは1200円から。川床では食べられないけど、このお値段ならOKか。

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今回はちょっぴり奮発して鮎が3匹載った上(1900円)を頼む。あゆ茶漬けに鯉の洗い、炊いた茸が付いてくる。鮎は実山椒と一緒に前日から煮込んだものだ。ご飯の上に鮎と海苔、わさびが載っている。熱いお茶をかけてさっそくいただく。まずは鮎を頭からひとかじり。驚くほどの柔らかさ。骨の存在をまったく感じない。こっくりとした味わいだが、わずかに生臭みを感じた。でも、すでに貴船散策で空腹の身にはそんなことも気にならない。ひたすらもくもくと平らげた、貴船の昼下がりだった。

※ただいま若葉マークの源氏物語ブログ別館「千年前から恋してる!」毎日更新中。ただいま「葵」の巻です。
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鍵善良房のくずきり

京都の夏は暑い。大阪も暑いけど、暑さの質が違うような気がする。大阪の夏はひたすらだらけていくような暑さだが、京都の暑さは「しっかりせんとあきまへんえ」と叱咤されているような気がする。もちろん、それでも暑いときは暑いけど。

で、暑い京都の夏を涼やかに過ごすいくつかの知恵がある。鴨川の床、貴船の川床、そして冷たいもの。冷たい甘味の定番が鍵善良房のくずきりだ。本店は祇園北側にある。いつもたくさんのお客さんが訪れて賑わっている。ある時お店を訪れたら、折悪しくその日は月曜日。定休日だった。

だけど、暑さに煎られたからだはひたすらくずきりの冷たさを求めている。くずきり以外のものは頭に浮かばない。そこで、もう一つの店、高台寺店を目指して歩くことにした。祇園からは10〜15分ほど歩かなければいけないけれど、頭の中はただくずきりが渦巻いていたのだ。

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ようやく高台寺店にたどり着いたときの喜び。さっそく目指すくずきりを注文する。たれには黒蜜と白蜜があるが、ここはやっぱり定番の黒蜜だ。

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くずきりの容器は信玄弁当の器を摸したもの。ふたを開けると蜜とくずきりが別々の器になる。水に泳ぐ半透明のくずきりの涼しげなこと。黒蜜をまとってツルリとのどの奥に滑り落ちていく。黒蜜は濃厚なコクがあるのに、さっぱりとした後味。ああ、生き返る。残りの黒蜜まで飲み干してしまいたくなるような味わい。幸せ、幸せ。

高台寺店は祇園に比べて静かなたたずまい。ちょっと足を伸ばしても、落ち着きたいときはこちらがおすすめだ。


■本店 京都市東山区祇園町北側264番地
■午前9時〜午後6時 (土・日・祝は7時まで)毎週月曜日 (祝祭日の場合は翌日)定休
■(075)561-1818 FAX (075)525-1818

■高台寺店 京都市東山区下河原通高台寺表門前上る
■午前9時〜午後6時 (土・日・祝は7時まで) 毎週水曜日 (祝祭日の場合は翌日)定休
■(075)525-0011 FAX (075)551-0868
■http://www.kagizen.co.jp/index.htm

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松彌の和菓子

京菓子はそれだけでひとつの景色をなしていると思うことがある。色とりどりのきんとんや有平糖を使って季節の移ろいや花や草木、時には風や水までも表現するのは京菓子ならではだ。ある時には写実的であり、ある時には極限まで抽象化する。だけど、その中に必ず花鳥風月や四季が織り込まれている。洋菓子に比べると、より四季や自然に近く、繊細な表現力を持っている。

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なかでも四季折々の景色を切り取ったように思えるのが、松彌の和菓子。特に夏の和菓子は見た目にも涼しげなものが多い。

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これは「せせらぎ」。岩に見立てた小豆の上を寒天のせせらぎが流れる。水しぶきは銀箔。水の音さえ聞こえてきそうだ。その上に青紅葉が浮かぶ。小豆がホクホクしていて、お茶菓子にもおすすめだ。

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こちらは同店でも一番有名な「金魚」。ゴールデンウイークから8月まで売られる人気商品だ。梅酒味の寒天の中に赤い金魚と黄色の金魚が泳ぐ。全体が青いように見えるけど、実は底の部分の寒天だけに青い色が付いている。上は透明なのだ。このお菓子は何度も寒天を重ねて作られる。見た目以上に手間暇がかかっている。

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同じように寒天の中に季節を封じ込めたのが「つばめ」。こちらはツバメの飛ぶ姿をはちみつレモン味の寒天の中に入れている。上面に描かれた幾条かの線はツバメの軌跡を表しているのだろうか。

正直なところ金魚やつばめは格別おいしいというものでもないけれど、見た目がとても楽しい。夏のお茶請けには喜ばれそうだ。

■京都市中京区新烏丸通り二条上ル
■075-231-2743
■10:00〜18:00 月曜休

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今井食堂のさば煮

上賀茂神社の西側、普通に歩いていては見過ごしてしまいそうなこぢんまりした、庶民的な店構えの食堂が「今井食堂」。でも、昼時になると次から次へと人が訪れる。壁に向かったカウンターが2列並んだ店内はすぐにいっぱいになる。

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同店の名物は3日間煮込んだというさば煮。サバといえば塩焼きや味噌煮などがポピュラーだが、同店のさば煮はだしでこっくりと煮込んでいる。気になるさばの生臭みなどはどこかへ消し飛んでいる。骨の存在など忘れるぐらい柔らかく煮込まれたさばは口の中でほぐれ、だしのうまみとともに広がっていく。特に腹の脂のおいしいこと。本当にとろけるような味わいだ。

「おすすめ定食」はさば煮とコロッケ、チキン串カツ、だし巻き卵とご飯、みそ汁がついて683円。ボリュームもたっぷりだ。みそ汁の中には大きめに切った大根がゴロンゴロン入っていた。見た目はまるで学生食堂のランチだが、食べると絶品。このさば煮を食べるためだけに、また、上賀茂を訪れてもいいと思ったぐらいだ。

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安くて、おいしくて、ボリュームたっぷりと三拍子そろった、学生の町・京都らしい食堂だ。大学生の息子がこんな食事を食べているとわかったら、親御さんも安心できるだろう。ありがたいことに、持ち帰り用の弁当やおかずもある。今度は可能ならば持ち帰ってみたい。

ちなみに、同店は元ヤクルトの古田が立命館大学時代に通った店。店内にはそうした選手の記事や、地元を取り上げた新聞記事の切り抜きが貼ってあって、一人でも意外に手持ちぶさたにはならない。

■京都市北区上賀茂御薗口町2
■075-791-6780
■11:00〜16:30(売り切れ次第閉店) 水曜休

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本田味噌本店

食生活が洋風化したとはいえ、日本人の食卓にみそ汁が上る頻度は高い。朝、一杯のみそ汁を飲む。お腹のそこまでじんわりしみていく温かさ。碗から立ちのぼる味噌の香り。このみそ汁の出来如何でその日の気分も多少は左右される。みそ汁がおいしく決まると、ちょっと料理の腕が上がったような気がする。

私をそんな気にさせてくれるのが、室町一条にある「本田味噌本店」。創業は天保年間。約170年を経た老舗だ。かつては御所の御用達だったという。魚のみそ漬けを「西京漬け」というが、西京とは、東京に対する西の京、という意味で、同社の味噌を西京味噌と呼んだそうだ。

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店構えは重厚で風格を感じさせる町家づくり。○に丹ののれんが目印だ。ちょっと見たところ敷居が高そうだが、入ると店員さんが愛想よく迎えてくれる。店内には味噌がずらり。看板商品の西京白味噌をはじめ、紅麹味噌、朝餉、赤だし、白麹味噌など様々な味噌が並ぶ。素人目にはどれがどんな味噌なのかさっぱりわからない。そんなときは店員さんに尋ねれば親切に教えてくれる。

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この店を初めて訪れたとき、白麹味噌を買ってみそ汁を作ってみた。その味わいのやさしいこと。塩味がぐっと押さえられ、味噌の香りが鼻腔をくすぐる。この味噌を使い始めてから、いままで使っていた味噌が使えなくなってしまった。どうも味がくどいように感じるのだ。

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というわけでこの味噌を知ってから半年、こればかり使っている。次回は紅麹味噌を試してみようかと考えている。それから同店の「一わん みそ汁」は、いわゆるお湯を注ぐだけでできあがりのインスタントみそ汁だが、麩焼の中に味噌の粉と具が入っている。なかなか本格派の味わいだ。軽いのでおみやげにもおすすめ。

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この写真はおまけ。室町通りを歩いて見つけた。コンクリートの打ちっ放しの壁に源氏香の模様が入っている。

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こちらは全体図

■本田味噌本店 京都市上京区室町通一条558
■(075)441-1131
■午前10時〜午後6時 日曜休み
http://www.honda-miso.co.jp/index.html

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Creme de la Creme の 京野菜シュー

昔から寺社が多く、精進料理が発達した京都では、独特の味わいと形を持つ京野菜が数多く育成されてきた。丸くて大きな聖護院ダイコン、京水菜、賀茂なす、太さに驚く堀川ごぼう、瓢箪型の鹿ヶ谷かぼちゃ、大ぶりの万願寺唐辛子など、最近では京都以外のスーパーにも並ぶ、ブランド野菜と化しつつある。

もちろん、京都へ行けば京料理だけでなく、イタリアンやフレンチにも登場する。だけど、洋菓子にも使われているのは意外でオドロキだった。

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烏丸丸太町に近い「Creme de la Creme」は「蕎麦ぼうろ」などで知られる石田老舗がプロデュースするシュークリームのお店。バラエティ豊かなシュークリームをはじめ、シューを使った洋菓子を販売するほか、ランチ、デリカなども楽しめるカフェを2Fに併設している。

ここの看板商品が「京野菜シュー」。季節に合わせた京野菜のクリームが入ったシュークリームが食べられる。

5月末までは「春のシュークリーム」。壬生菜、京たけのこ、丹波黒豆などがそろう。これに通年商品の「京の白味噌」を合わせた京野菜シュープレート(472円)はちょっとおもしろいシュークリームだ。


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写真はやまのいも、丹波黒豆、京たけのこ、壬生菜、京の白味噌が並んだシュープレート。やまのいもは食材の特長を生かした粘りある食感。京たけのこには細かく刻んだたけのこが入っていて、歯ごたえが楽しい。壬生菜はちょっぴり青臭い。京の白味噌は中に半兵衛麩の生麩が入っている。私の中で一番だったのが丹波黒豆。黒豆のコクと香ばしさが生きていて、ちょっと大人の味わいを感じた。野菜のシュークリームと聞いて、ちょっと腰が引けていたが、意外に甘味にマッチしてるのがオドロキだ。

「京野菜シュー」は、季節によって商品が変化する。6月からは賀茂なす、京とまと、万願寺とうがらし、秋は鹿ヶ谷かぼちゃ、紫ずきん、丹波栗、冬は聖護院かぶら、京にんじん、やまのいも、堀川ごぼうと多彩。丹波栗や鹿ヶ谷かぼちゃ、京にんじんぐらいは想像が付くが、万願寺とうがらしや堀川ごぼうなんかはどんな風になるのだろう。とても気になる。


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そのほかデザート類も多彩。写真はシューロール。天窓から太陽の光が降り注ぐ店内は明るい雰囲気。女性一人でも気軽に入れるのもいい感じだ。

なお同店では、5月28日から6月3日まで、京都高島屋地階食品売り場に出店する。

■京都市中京区烏丸竹屋町少将井町225
■075)241-4547 FAX(075)241-4548 火曜定休
■http://www.cremedelacreme.co.jp/

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半兵衛のむし養い

京料理に欠かせない食材として生麩と湯葉がある。いずれも脇役だが、これがなければ何となく京料理らしくない。いくら見た目は京料理らしくても、画竜点睛を欠いているような気がする(大げさだけど)。でも、生麩と湯葉が主役をはるのはあまり見たことがない。どちらかというと、若手の脇をがっちり固める名優の風情だ。

この二つの食材を主役にし、さらにいままでにないアレンジを加えているのが半兵衛の「むし養い」。同店は五条大橋のたもとにある生麩のお店。創業は元禄2年(1689年)。300年以上を数える老舗だ。

むし養いは生麩や京湯葉の味わいを広く知ってもらうために供されているお料理。生麩や湯葉のアレンジの多彩さに驚かされる。


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左手前は「湯葉豆腐」。見た目は卵豆腐、味わいは湯葉、豆腐よりもなめらかで口の中でツルリとほどける食感が心地よい。その奥左が生麩のしぐれ煮。まるで牛肉のしぐれ煮のような食感と味わいにびっくり。さらに、焼麩とキュウリの酢の物、生麩田楽、ご飯の隣の生麩は昆布やぎんなんなどが入っている。緑の生麩は山椒の香りが口いっぱいに広がる。柏の葉に包んだのは白みそあんが入った麩まんじゅう。

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こちらは汲み上げゆば。やさしい口当たりだ。


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湯葉の揚げ物はカリカリの食感が楽しい。

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揚げた生麩と湯葉の碗もの。生麩は揚げるとまた食感が変化する。

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よもぎ麩の白味噌仕立て。白味噌のやさしい甘さがよもぎ麩の味わいを引き立てる。


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店内は思った以上に広く、お庭もきれい。スタッフの応対もていねいで、快かった。次から次へと繰り出される生麩と湯葉のマジックに、楽しい驚きが続く食事だった。

■京都市東山区問屋町通り五条下ル二丁目上人町433
■TEL(075)525-0008 FAX(075)531-0748 フリーダイヤル(0120)49-0008
http://www.hanbey.co.jp/

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Stella Polare(ステッラ ポラーレ)

京都御所の西側は立派なお邸が建ち並ぶ閑静な住宅街だ。最近でこそ、マンションや会社の保養所なども増えているが、基本的にはお邸街。昔からの住人も多く、いわゆる「京都」らしさが伝わるところでもある。

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同店はその一角、室町通りに面した立派な町家門の奥に店を構える。靴を脱いで上がる店内はゆったり座れる掘りごたつ形式。大きな窓の向こうに日本庭園が見える。

この日は少しだけぜいたくに1575円のコースを頼んだ。


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生ハムやスモークサーモンなどが盛り合わされた前菜は、バラエティ豊かで楽しみながらいただける。

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本日のスープ

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バジルクリームのコンキリエ。ガーリックの香りが効いた濃厚なソースが歯ごたえのあるコンキリエによく絡む。

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ドルチェ。パンナコッタとケーキ。このほか、パンとお茶も付く。この価格でこの雰囲気とお味は◎。偶然出会ったお店だけど、かなりの満足感でお店をあとにした。

■京都市上京区室町通出水上ル東側
■075-432-6221
■ランチ 11:30〜15:00(L.O.14:30)、ディナー 18:00〜22:00(L.O.21:30)

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天周の天丼

関東と関西では食文化に様々な違いがある。うなぎのさばき方、うどんのだし、雑煮の餅…。意外なところでは定食のご飯とみそ汁の置き方にも違いがあるそうだ。

だが、天ぷらにも違いがあるのを実は先日まで知らなかった。関西の天ぷらは衣に卵を入れず綿実油で揚げるので、さらりとした味わいになる。それに対し、関東の天ぷらは衣に卵を入れ、ごま油を使うので、香り高い天ぷらが揚がる。

祇園北側にある「天周」は関東風の天ぷらを出すお店だ。人気は昼のメニューの天丼。店の外まで行列があふれていることがある。そこで開店の11時より20分ほど早く訪れてみた。そこにはすでに数組のお客さんが。みんな考えることは同じだ。昼は予約できないので、どんなに遠くから来る人でも、並ぶしかない。幸い、私たちは開店と同時にカウンターに座ることができた。

店内にはごま油の香りが漂い、目の前で天ぷらが揚げられる。手際よく揚げては丼つゆに浸しててご飯にのせられる天ぷら。メニューは穴子天丼、海老天丼、かき揚げ丼、ミックス天丼の4種類。この日はかきあげ天丼にした。

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やってきたのはかき揚げでふたをした丼。ではなく、ボリュームたっぷりのかき揚げ丼。ごま油のいい香りが立ちのぼる。ここのかき揚げ丼はちょっと変わっていて、天ぷらの半分は丼つゆに浸しているが、半分はそのままだ。こちらは抹茶塩を付けていただく。2種類の味わいが楽しめて、ちょっとお得な感じ。

アツアツの天ぷらをまずは一口。サクサクの歯ごたえ。サツマイモ、かぼちゃ、タマネギ、三つ葉、小エビなどが渾然一体となった味わい。野菜の甘味が際だつ天ぷらだ。揚げたての天ぷらでちょっと舌をやけどしながら、ハフハフといただく。天ぷらもご飯もボリューム満点だった。これで価格は1550円。まあ、祇園価格といえば祇園価格だけど、たまにならOK、という感じ。

驚いたのは食べ終わって店を出てから。四条通にずらりと行列ができて、どこまで続いているのか終わりが見えなかった。ここへ行くなら、開店前から並ぶか、少しピークをはずすのがおすすめ。

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■京都市東山区祇園四条通縄手東入北側
■075-541-5277 FAX:075-561-5709
■11:00〜14:00 17:30〜21:00 水曜休
http://tenshu.fc2web.com/

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喫茶 ソワレ

ひところのカフェブームもようやく落ち着いた感があるが、京都は関西でもいち早くカフェブームが起こったところである。町家カフェや和モダン、デザイナーズカフェまで個性豊かなカフェがあちこちに登場し、訪れる者としては実に楽しい。

だが、カフェブームがやってくる以前から、京都には個性豊かな老舗喫茶店が数多く見られた。それを育てたのは京都の学生や学者、芸術家などのインテリゲンチャたち。そのおかげでいまでも京都には古きよき喫茶店文化を受け継ぐ店が残されている。

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木屋町四条上ルにあるソワレもそのひとつ。昭和23年創業というから、ことし還暦を迎える老舗喫茶だ。少女のイラストが描かれた看板やヨーロッパ調の外観に昭和の香りが漂う。


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特徴的なのは店内の照明。青い光は女性の肌をキレイに見せるのだとか。たしかに、少し非現実的な雰囲気が漂う。この写真ではホワイトバランスの操作で青を協調しているため、まるで海の底のようになってしまったけど、実際にはここまで青くはない。


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同店の名物が七色のゼリーを使ったスイーツ。特にゼリーポンチはプルンプルンのゼリーとシュワシュワの炭酸の口当たりが楽しい。色鮮やかなゼリーにはちょっとびっくりするけれど、こういうお店にはよく似合う色合いだ。


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お店に行ったら、ぜひショップカードももらって。東郷青児や中井史郎の乙女チックなイラストが、昭和を感じさせる。


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■京都市下京区木屋町四条上ル
■075-221-0351
■月曜定休

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鶴屋吉信 お休み処「菓遊茶屋」

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お寿司屋さんのカウンターやレストランのオープンキッチンなど、調理を見ながら飲食するというのはなかなか楽しいものだ。あれとこれとこれがこうなって、何だかわからないうちにこんな風になっている。マジックのようなプロセスを目の当たりにすると、やっぱりプロの技ってすごい、と思ったりする。動きに無駄がなく、何ごとに付けても素早いのだ。

それを和菓子の世界で体験できるのが堀川今出川にある鶴屋吉信。同店は江戸時代の創業で、御所にお菓子を納めていたこともある老舗。茶道のお菓子としてもよく使われる。同店2階にはお休み処「菓遊茶屋」があり、和菓子やお茶を楽しむことができる。

テーブル席とは別に設けられたカウンター席では、目の前で和菓子作りの実演を見ながら、お抹茶をいただくことができる。といっても、実際に作っている時間は1分足らず。あっという間に季節の和菓子ができあがる。その手さばきのあざやかなこと。目にも止まらぬ早業だ。

今回は少しだけみなさまにもおすそ分け。その技を動画でご紹介しよう。ダウンロードはこちら
今回いただいたのは春らしい「菜の花」のきんとん。中は小豆の歯ごたえが残るこしあん。作りたての和菓子とほろ苦のお抹茶で、ひとときほっこり和むことができた。


Tsuruyayoshinobu

■京都府 京都市 上京区 今出川通 堀川西入(西陣船橋)
■075-441-0105(代表) FAX:075-431-1234
■平日 9:30〜18:00 (17:30 オーダーストップ) 水曜定休
http://www.turuya.co.jp/

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嵯峨豆腐 森嘉

娘の千重子が、ひるごろに来た。
「おとうさん、森嘉の湯豆腐をおあがりやすか。買うてきました」
「ああ、おおきに……。森嘉の豆腐もうれしいけど、千重子の来たのはもっとうれしい。(後略)」(川端康成「古都」)

この小説によって全国的に有名になった嵯峨豆腐の店である。
高校の国語の女性教師が同店について話してくれたことがあった。
「あそこの店、最初は地味ぃにしてはったのに、あの小説に書かれてから、次にいったらお店が立派になってて、その次に行ったら奥さん、こぉんな大きなダイヤモンドしてはった」と指で輪を作った。Morika

同店は嵯峨・清涼寺のすぐ東に位置する。創業は安政年間というから、約150年程度だろうか。立派な店構えはまだ新しく感じる。これが「立派になってて」という店なのか。それともさらに立派になっているのだろうか。土曜の昼下がりだが、老若男女入り交じってひっきりなしに人が訪れる。私の前に訪れた若い男性はおみやげだろうか一人で豆腐を2丁、おあげさんを2枚、飛竜頭を3つなど、かなりの量を買い込んでいた。

商品を買うのは同店の作業場の前。従業員がすぐそばで豆腐をパックに詰めている。目の前で詰めている姿は、誠実さと安心感を与えてくれる。豆腐は1パック2丁入りで400円。容器を持って行けば1丁200円で買うことができる。同店の豆腐はなめらかで柔らかいのどごしが特徴だ。これはにがりの代わりにすまし粉を使っているからだそう。湯豆腐にすると崩れやすいけど、口当たりがよさそうだ。

だけど、これからまだ嵯峨野観光の予定がある場合、崩れやすく傷みやすい豆腐を持って歩くのはちょっとためらわれる。そんな人におすすめなのが同店の飛竜頭(ひろうす)1個200円。水分も少なく、油で揚げてある分、傷みにくいので安心だ。

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いわゆるがんもどきだが、「飛竜頭」という名前はちょっとすごいと思う。文字だけ見ると、龍の頭が火を噴きながら飛んでくるところを想像してしまう。食べ物の名前とは思えない。とまれ、飛竜頭である。普通は黒ごまときくらげぐらいが練り込まれたもので、中も結構すかすかしていたりするのだが、同店の飛竜頭はずっしり重い。大きさは直径5センチ以上はあろうかという感じ。まるでボールのようだ。黒ごまときくらげのほか、人参も練り込まれている。

これを煮物にしていただいた。箸で割ろうとすると、中で何かにぶち当たる。出てきたのは大きなユリネがいくつか。さらにユリネの中心部にはぎんなんがひとつ。その意外性に、宝探しの宝物を見つけたような喜びを感じる。ユリネの甘さとぎんなんのもっちりした食感も楽しい。それに油で揚げているためか、中身がたっぷりつまっているせいか、かなりボリュームだ。夕食のおかずはこれだけで満腹になってしまった。

■京都市右京区嵯峨釈迦堂藤ノ木町42
■075-872-3955

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「はふう」のカツサンド

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前回、食べ物ネタが多いと自粛したばかりだけど、またまた食べ物ネタ。

「はふう」は京都御所の少し南にある肉料理の専門店。上質の和牛を使った料理が食べられる。ステーキやビーフシチュー、ビフカツ、ステーキ丼などメニューを書いているだけでよだれが出てきそうだ。で、ここのカツサンド。以前、イノダコーヒのビーフカツサンドを食べたときもかなりの感動だったが、今回はそれに勝る感激だった。

同店のカツサンドは1800円。これにサラダとコーヒーが付いたセットは2400円になる。わが人生最高値のサンドイッチだ。カウンターに座ると、調理の過程を直接見ることができる。あちらで分厚いステーキが焼かれている。こちらでサラダの準備がされている。私のカツサンドはどれだろう。泡立つ油に目を凝らす。はやる心を抑えて、サンドイッチの登場を待つ。

そして運ばれてきたカツサンドの見事なこと。きつね色にトーストされたパンに、ミディアムレアに仕上がったカツの切り口が美しい。肉汁がいまにもあふれ出しそうだ。サラダもボリューム満点。お肉を食べても、これだけたっぷりの野菜を食べていれば、何となく安心だ。

サンドイッチを手に取る。きっちりと押さえられているので崩れることもない。一口ほおばって至福の時を迎える。何という柔らかさ。そしてキャベツの歯ごたえ。ソースが主張しすぎず、口いっぱいに肉汁が広がって、肉本来の味わいが感じられる。何の抵抗もなくのどの奥に滑り落ちていく。

ランチにサンドイッチは、ボリューム的にどうかと思ったが、それは杞憂だった。一切れ食べるごとに、お腹にずしんと来る食べごたえ。お肉は約130グラムというから、なかなかのボリュームだ。これにサラダが加われば立派な食事として成立する。というより、見た目はサンドイッチだが、本当においしいビーフカツとサラダとパンを食べていると思えばしっかりした食事だということがわかる。これはごちそうサンドイッチだ。幸福感に満たされたランチタイムだった。

なお、このカツサンドはテイクアウトも可能。その際は10分ほど前に電話してから行くと、待たされずに持ち帰ることができる。

同店にはさらにこの上に5000円の「極上和牛カツサンド」が用意されている。一体どんなカツサンドなんだろう。想像したくても私の貧困なアタマでは想像できないのが悲しい。いつか偉くなって喰ってやるのだ。


Hahuuhonten

■はふう 本店 
■京都市中京区麩屋町通夷川上ル笹屋町471-1
■ 075-257-1581 FAX 075-257-1582
■11:30〜13:30(L.O.)、17:30〜21:30(L.O.)

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聖護院八ッ橋総本店

Shougoin

修学旅行の京土産の定番といえばあん入りの生八ッ橋だ。おたべだの、夕子だの、聖だのといろんな銘柄が販売されている。近ごろはいちごあんだの、桃あんだの、あれこれ手を加えたものが多く、種類も銘柄も多すぎて、何だか陳腐だな、と思うこともある。だが、実は八ッ橋は歴史ある京菓子だ。

八ッ橋が売られはじめたのは元禄二年(1689年)のこと。松尾芭蕉が「奥の細道」の旅に出た年だ。その名の通り、近世箏曲の開祖といわれる八橋検校に由来する。当時、黒谷の金戒光明寺に葬られた八橋検校を慕い、多くの門弟たちが墓参に訪れていた。彼らに琴に似せた干菓子を「八ッ橋」と名付けて売り出すようになったのがこのお菓子の始まりだそうだ。

そのお菓子を売っていたのが金戒光明寺近くにあった「聖護院八ッ橋総本店」。現在も続く八ッ橋の老舗だ。つまり、八ッ橋は焼いた煎餅タイプが元祖ということになる。そちらもいいのだが、あんの入らない生八ッ橋も捨てがたい。特に同店の生八ッ橋はほかに比べて柔らかく、甘味も肉桂の香りも上品で、こころなしか色白だ。もちろん、味わいは好きずきだけど、やっぱり300年以上続いた老舗には、続くだけの理由がある。京土産を選ぶときには、そんなことも考えながら買いたくなる。

Yatsuhashi

■京都市左京区聖護院山王町6番地
■075-752-1234
■8時〜18時
http://www.shogoin.co.jp/

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緑寿庵清水の金平糖

Ryokujuanshimizu
甘ったるい。じゃりじゃりしている。駄菓子…
金平糖はちょっと不憫なお菓子だ。日本に伝わって歴史も長くかつては高級菓子だったというのに、お菓子の辺境に追いやられているような気がする。積極的に「金平糖が好き!」という人にあまり出会ったこともない。そんな金平糖のイメージを一新してくれたのが緑寿庵清水の金平糖。ここは日本でただ一軒の手作り金平糖の専門店だ。

京阪電車の出町柳駅から東へ、京大の学生らしい若者たちに交じって百万遍方向へ歩いていくと、住宅街の中から、フッと甘い香りが漂ってくる。どこかでかいだような、何となく懐かしい匂い。夜店の綿菓子?それよりも少し洗練されたような甘い香り。これが金平糖を作る香りなのだ。

緑綬庵清水の店内は狭い。7〜8人も入るといっぱいになる。そして常にいっぱいだ。早めの時間帯に行かなければ、金平糖が売り切れて買えないこともある。お菓子の辺境にいる金平糖がなぜこんなに人気なのか。同店の金平糖を全国に知らしめたのはやはり黒田清子さんの結婚式だろう。ボンボニエールに入った金平糖はそれまで見た金平糖とはまったく違う高級菓子だった(有名な柔道の女子選手もこれを引き出物にしましたっけね)。

金平糖といえば、砂糖の味しかしないと思っていたが、同店の金平糖は驚くほど様々な種類がある。定番の林檎やパイン、檸檬、バナナなどのほか、季節の金平糖や究極の金平糖など実に多彩。究極の金平糖は梅酒や日本酒、ブランデーなどの種類があり、年に一度しか作られない。従って常に予約がいっぱいで翌年、あるいは翌々年にならなければ入手できないものもあるという。季節の金平糖はさくらんぼやラ・フランス、ヨーグルト、トマトなどが季節に応じて登場する。私が好きなのは天然水サイダー。うっすら水色の金平糖は口に入れるとたしかにサイダーの味わい。炭酸の泡すら感じられるようで不思議。春は「桜」なども。こちらは口に桜の花の香りが広がる。

さらに驚かされるのが金平糖作りの工程。実に長い時間をかけて作られる。金平糖の核になるのはもち米を細かく砕いた「イラ粉」。これを大きな釜に入れ、回転させながら少しずつ蜜をかけていく。最初小さな粒だった金平糖は徐々にイガを伸ばし、やがてあの不思議なカタチに成長する。その間2週間から20日。

これが実は大変なのだ。同店の金平糖には果物やお酒など天然素材が使われている。その中には酸や油脂を含んだものも多い。こうしたものは金平糖が結晶化するのを妨げる。あのカタチにするのが非常に難しいのだ。試作品を作っても、釜いっぱいだめにすることもあるという。金平糖作りの職人は釜のそばをひとときも離れず、金平糖の様子を見守っていなければいけない。

熱を発する釜のそばにいるのは大変だ。夏場は40度を超える暑さに耐えなければいけない。同店の女将さんは、実は息子には店を継がせたくなかったという。それでも息子である現在の五代目は会社勤めをやめ、自から金平糖づくりを志したそうだ。技術はこうして次の世代に受け継がれた。私たちはまだまだ、この金平糖を味わうことができる。感謝だ。

Konpeito

写真は天然サイダーの金平糖

■京都市左京区吉田泉殿町38番地の2
■TEL 075-771-0755 FAX 075-771-0766
■水曜・第4火曜定休 営業時間 10:00〜17:00
http://www.konpeito.co.jp/

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松富や壽いちえ

Matutomiyakotobukiitie

子どものころ、親から野菜を食べろとうるさくいわれた記憶がある。家で食事をしていたころは、仕方なく野菜も食べていたが、大人になって外食が多くなるにつれ、自分の好きなものしか食べなくなった。

その後、自分で食事を作るようになって、野菜の取り方が少ないと、覿面に体調に影響が出ることに気づいた。やっぱり親のいうことは聞いておくもんだ、と遅まきながら実感した。自宅で食事をとれるときはある程度野菜を添えることもできるが、忙しくなったり、仕事の都合で外食が増えると、やはり野菜不足が気になる。この店はそんなときに行きたい一軒だ。

店舗は築90年の昔ながらの京町家。何かのお店だったんだろうか。畳の間にテーブルといすを置いて食事ができるようになっている。ここのおすすめはお昼のおばんざいバイキング。何しろ1050円で京のおばんざいが65分間食べ放題なのだ(土・日・祝は1380円)。

きんぴらごぼうにひじきのたいたん、だし巻き卵に鶏の唐揚げ、やきさんま、フライドポテトにサラダにみそ汁、玄米ご飯…と実に多彩なおばんざいが食べ放題。しかもどれもおいしい。実は素材にもとてもこだわっている。

醤油は京都産の有機大豆と有機小麦で作った完全無添加のしぼりたて生醤油だったり、味噌は京都の味噌造り名人が造る無添加天然熟成味噌だったりする。そのほか、自然製塩法で作った自然海塩やカラメル不使用の三温糖や沖縄の黒糖、手作りマヨネーズ、国産有機牛乳など、聞くだけで「ほう」とうならされる。そのほかの食材も有機栽培だったり、ベーコンやハムは自家製だったり、徹底的にこだわった安心の食材がそろう。

こんな食材で作ったお料理がこのお値段で食べ放題だ。鶏の唐揚げやフライドポテトはサクサク。さんまも脂がのって美味。みそ汁は味噌の風味だけを味わうため、具は入らない。日ごろ不足しがちな野菜もたっぷり食べられる。作ってくれた人に思わず感謝したくなる、そんなお料理ばかりだ。事実、私の隣に座った男性は、食後きちんと手を合わせて「ごちそうさま」とつぶやいていた。自然とそうしたくなるのだ。

ただし、いまの季節はきっと店内も寒いに違いない。何しろ昔ながらの京町家。あちこちにすきまが見えた。だけど、それもまた、温かいお料理をおいしくいただく味付けかもしれない。


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■京都市中京区柳馬場通三条下ル槌屋町87
■075-255-7899
■昼 11:30(準備次第)〜15:00(ラストオーダー 14:20) 夜 17:30〜22:30(ラストオーダー 21:00)

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原了郭の黒七味

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きょうは大晦日。年越しそばをいただく日である。毎年、年越しそばは近所のそば屋で食べることにしている。大阪ではかなりの名店として名が通っているが、そこで出てくる七味が原了郭の黒七味だ。そば屋に行って、原了郭の黒七味が出てくると、「この店、なかなかやるな」とうれしくなる。ほかの七味とはひと味違うのだ(七味なのにひと味とは、変な表現だけれども)。

原了郭は祇園にある七味と香煎の店。赤穂義士原忽右衛門元辰の子どもが元禄16年(1703年)にはじめたと伝えられている。香煎は湯に入れて飲むお茶のようなもの。黒七味は黒ごまの香りがしっかりときいた七味だ。色も写真の通り、濃い茶褐色。一般的な七味に比べるとかなり色が黒い。しっとりした仕上がり。同店ではこれを一子相伝で伝え、いまも当主が薬研を使い、昔ながらの手作業で作っているという。

特筆すべきはその香り。胡麻の香りに山椒などの香りが混ざり合い、口に入れても辛味の前に香りが先立つ。うどんに入れたり、みそ汁に入れても、いつもの味が少し上等になったような気がする。辛味もかなり強い。自己主張は強いけど、料理を引き立てる力を持った七味だ。

ただ、惜しむらくは香りが飛びやすいこと。賞味期限はわずか3カ月。うまさは駆け足で過ぎ去っていく。

■京都市東山区祇園町北側267
■075-561-2732 FAX075-561-2712
■午前10時〜午後6時 木曜定休


Hararyoukaku

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丹波篠山のぼたん鍋

Botannabe

忘年会シーズンは鍋料理の季節だ。しゃぶしゃぶ、すき焼き、寄せ鍋、ちゃんこ鍋など、どれも美味だが、ぼたん鍋は格別温まるような気がする。

ぼたん鍋とは、猪の肉を使った味噌仕立ての鍋のこと。日本のジビエだ。関西では丹波篠山が名産地として知られている。篠山をはじめ、兵庫県中北部から、中国山地にかけては広葉樹の多い地域だ。ここでとれるドングリなどの木の実を食べて育ったイノシシは脂ののりがよく、肉質もよいといわれる。特にイノシシ猟が解禁になる11月以降は冬に備えてたっぷりと脂を蓄えている。

猪肉は見た目ではわからないが、筋肉のすきまにも脂が分散している。だから、煮込めば煮込むほど脂と味噌が調和し、うまみが増す。豚にはない味わいだ。キノコやごぼう、山の芋など山の幸と一緒に煮込むと、一層豊かな味が広がる。

ぼたん鍋を食べる機会にはなかなか巡り合わせないが、年に一度ぐらいはあの、滋味豊かな肉をいただいてみたいものだ。

写真は篠山市の「四季丹波 山くじら亭」にて。
■篠山市東吹1821-1
■079-590-1003

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麩嘉の麩まんじゅう

Fumanjuu

良質の水に恵まれた京都では、様々な美味、食材が水によって培われてきた。豆腐しかり、伏見の銘酒しかり。いや、京料理そのものの味わいも水が作り出したと言ってよいかもしれない。

京料理の脇役として欠かせない食材のひとつが「生麩」である。モチモチとした独特の歯ごたえ、なめらかな舌触り。味というほどの味はないが、彩りもよく、食感が楽しいモノでもある。生麩は小麦粉を水で練り、デンプン質を洗い流した小麦タンパク、つまりはグルテンの塊。中学校ぐらいの時、理科の実験で作ったことのある人もいるかもしれないが、やはり生麩づくりにも良質の水は欠かせない。

西桐院椹木町上ルにある「麩嘉」は文化文政年間創業の生麩の専門店だ。店名は決して「不可」とか「負荷」と同じような抑揚で読んではいけない。「ふぅかぁ」とやさしげに発音してほしい。同店の本店がある西桐院通はよい地下水が湧出するところ。本店脇には京洛七名水のひとつ、滋野井の流れを汲む小さな井戸がある。

生麩には様々な種類があるが、同店の名物が麩まんじゅう。甘さをぐっと押さえたさらし餡を生麩で包んだお菓子だ。京料理のお弁当の片隅に入っていることもたまにある。モチモチの食感はお餅ともまた異なる。うっすら緑色の生麩はヨモギ入りかと思ったら、実は青のり入り。口に入れると磯の香りがいっぱいに広がる。餡とのバランスが絶妙だ。1個はわずかに一口大。もっちりツルリとした口当たりのよさに、2個、3個と食べたくなってしまう。

西桐院の本店は、由緒正しき町家のいかにも老舗といったたたずまい。かわいいおかめさんののれんが、少しは敷居を低くしてくれているが、ちょっと足を運びにくい気もする。そんな方におすすめなのが、錦小路堺町角にある錦店。京阪や阪急の駅からも徒歩で行け、入りやすい店構え。ただし、時間帯によっては麩まんじゅうが品切れの場合もあるので注意。

Fuka

写真は錦店
■京都市中京区錦小路通堺町角
■075−221−4533 FAX075−221−1608
■9時30分〜17時30分、毎月曜、2月から8月までの最終日曜休み。

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イノダコーヒのカツサンド

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「若葉マークの源氏物語 ブログ」と銘打ちながら、何となく食べ物ネタが多いような気がするが、今回もまたまた食べ物ネタ。

堺町通り三条下ルにあるイノダコーヒは、1940年創業。100年単位の老舗がひしめく京都ではまだまだ若い店だが、喫茶店の中では屈指の老舗だ。外観は町家風だが、中は洋館風。店内にはいると最初にケーキが並んだショーウインドーに釘付けになる。アップルクーヘンやチーズケーキ、中でも目を引くのがジャンボシュークリーム。私の両手の平を合わせたぐらいの大きさだ。

思わずケーキを注文しそうになったが、この日はぐっと我慢。目的は名物「ビーフカツサンド」だ。注文からしばし。目の前にビーフカツサンドが置かれる。お供はシロップ抜きのアイスカフェオレで。同店のコーヒーは最初から砂糖やミルク、シロップが入っているので、不要ならば注文時にいっておくべし。

三切れのサンドイッチの上にはじっくり焼かれたベーコンが2枚。このベーコンがとてもジューシーだ。ほどよく油が抜けてカリカリになった部分と、柔らかい部分が交じり合って、ベーコンってこんなにおいしかったのか、と思わせてくれる。そして待望のサンドイッチ。

だいたい、カツサンドという食べ物は一口食べると、中身がずれたり、かみ切れなくて全体がずるっと抜けてしまったり、ソースがこぼれたり、いろいろとアクシデントのあるものだ。そう覚悟して口に入れたが、その柔らかさに驚き!しかも、カツサンドなのに衣をほとんど感じない。でも、衣の香ばしさとコクは損なわれておらず、お肉もジューシー。ほどよくレアに仕上がった牛肉は、筋のひとつも感じさせずソースと混じり合い、肉のうまみの余韻を残してのどの奥へ消えていく。至福のひとときだ。「私一人でこんなおいしいもん食べて、ごめん」誰にともなく謝ってしまった。

さすがにこの日はジャンボシュークリームは注文せず。次回の楽しみに取っておくことにした。

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■京都市中京区堺町通三条下ル道祐町140
■075-221-0507 FAX:075-221-0530
■7:00〜20:00
http://www.inoda-coffee.co.jp/index.html

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近江八幡・酒游館

滋賀県は、中央に日本一の湖・琵琶湖を擁する近畿の水瓶。京都の陰に隠れていささか地味に感じるが、史跡や国宝、重要文化財も多く、おいしいものにも恵まれている。

近江名物といえば、ふなずしだとか、鮎の甘露煮だとか、いろいろあるけれども、私は「赤コンニャク」が好きだ。コンニャクといえば、灰色か白が定番だが、近江八幡では「赤」と決まっている。べんがら塗のような、ちょっと錆びた赤はコンニャクとしてみると衝撃的だが、これを土佐煮にすると実においしい。別に唐辛子が入っているわけではない。その由来はよくわかっていないが、ハデ好きの殿様、織田信長に由来するとも言われる。なるほど、コンニャクまで赤がいいというのは、何となく信長っぽい気もする。

ほかに近江の名物といえば、近江牛に、湖の淡水魚、そして近江米。近江八幡なら、丁字麩もうまい。そうした近江の味がぎゅっとひとまとめに詰まったのが、近江八幡の酒游館の「ことぶき膳(梅)」(2520円)。同店は西勝酒造が営業している。享保二年(1717年)創業の老舗の造り酒屋。店舗は酒を熟成させる蔵を改装したもの。

料理は一膳一重。お膳には近江牛のしぐれ煮や赤だし、炊き合わせ。お重には近江牛のたたき、赤コンニャクの土佐煮、丁字麩の芥子酢みそ和え、鮎の甘露煮など、近江名物がぎっしり。もちろん、ご飯のお米は近江米に違いない。さらに食前酒として西勝酒造の酒が付いてくる。私たちの時は「風花」という濁り酒が供された。こうして並べると、近江の食の豊かさがよくわかる。織田信長も賞味したであろう濁り酒や赤コンニャク。近江の歴史に思いをはせようと思ったけど、酔いに霞んだ頭は目の前の美味に気を取られるばかりだった。
■523-0862 滋賀県近江八幡市仲屋町中21
■(0748)32-2054 FAX(0748)32-6336
■午前10:30〜午後5:00 火曜定休
http://www.shuyukan.com/index.html

Shuyukan

写真は「ことぶき膳」のお重。

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町家紅茶館 卯晴のランチ

過日、京都サイクリングの途中、西陣の路地の奥に小さな町家カフェを見つけた。「町家紅茶館 卯晴」。昼食を食いはぐれて、どこかいいお店はないかと探していたとき、偶然出会った店だ。

見た目は古色蒼然とした町家だけど、ちゃんと手入れがされていて、外装や店内の塗り直しはススとべんがらを使った古色塗だそう。店内には靴を脱いで上がる。1階は栃の木のカウンターと小さなちゃぶ台がいくつか。私は二階へ上がってみた。どこかの家のリビングのようなくつろいだ雰囲気。絵本が置かれた棚。木のおもちゃ。この店の常連さんの顔が見えそうな設えだった。
Uharu2
ランチはこだわりミニトマトとモツァレラチーズのバケットサンド、京若鶏のオーブン焼きバルサミコソース、パスタの3種類。私が頼んだのはパルメジャーノ・レッジャーノのトマトリコッタのパスタ。長い名前だけど、要するにトマト味のパスタ。同店は食材にこだわっているらしく、付け合わせのグリーンリーフはオーガニック。

この写真では見えないけど、小さなカップの中には北海道の有名なチーズ工房NEEDSのプチモッツァレラとこだわりミニトマトの小さなサラダが入っている。チーズもおいしかったけど、ミニトマトの甘いこと。サクランボかと思うほどだった。

同店は多彩なリーフを揃えた紅茶と北海道の乳製品や平飼い地鶏の卵などを使ったスイーツが自慢のようだが、この日はどちらも味わう機会がなかった。だけど、ふとしたところにこんなお店が見つかるのが京都のおもしろさ。今度はどの路地を曲がってみようか。

■京都市上京区大宮通笹屋町下ル石薬師町689-13
■075-441-4772
http://www.uharu.com/


Uharu

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クラブハリエのパン

大阪・梅田の阪神百貨店地下1階。いつも店の外まで行列ができている洋菓子店がある。これがクラブハリエ B-studio Osaka。近江八幡の和菓子店「たねや」の洋菓子部門だ。みんなここのバームクーヘンを入手すべく並んでいる。ここのバームクーヘンはブリュッセルの国際味覚品質協会主催の国際食品コンクールで、最高の三星の優秀味覚賞に選ばれたそうだ。というわけで、このバームクーヘンを求める人が売り場に集まってくる。あまりの人だかりに、私はまだ、一度も並んだことがない。

近江八幡の日牟礼八幡宮そばにはたねやグループの「近江八幡日牟禮ビレッジ」がある。和菓子の店舗やお茶や食事ができる日牟禮茶屋、洋菓子のクラブハリエ日牟禮館、日牟禮カフェ、日牟禮ガーデン、洋菓子研究所が集まっている。

もちろん、クラブハリエ日牟禮館でもバームクーヘンは購入可能だ。ところが、やっぱり行列が絶えない。行列に並んでいるだけで観光の時間もなくなりそうな気がする。というむきにおすすめなのが、ここの焼きたてパン。クラブハリエの店舗でパンを扱っているところは少ないので買う値打ちありだ。
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写真はクラブハリエのパン4種。バターの香り高いブリオッシュ、洋なしのデニッシュ(名前失念)など、それぞれ際だった味わい。ただし価格は他店より3〜5割は高い。近江八幡土産になら、OKかな。

■〒523-8585 滋賀県近江八幡市宮内町日牟禮ヴィレッジ
■和菓子 0748-33-4444 洋菓子 0748-33-3333
http://www.taneya.jp/himure/top.html

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御池煎餅

簡素な店構え。小さなショーケース。寺町御池にある亀屋良永の店内はいまだに昭和の香りが漂っている。

同店の代表的なお菓子が「御池煎餅」。
うっすらと焼き色の付いた小さな白い煎餅はふわふわと軽く、麩焼のようだが粳米粉を使っているそう。煎餅の表面にはたまり醤油を隠し味にした砂糖衣を刷毛で引いている。缶を開けるとふわっと醤油の香りが立ちのぼるのはそのためだ。口に入れるとパリッと軽い歯ごたえのあと、サワサワとほどけていく。砂糖衣のやさしい甘さが上品。これなら、小さな子どもでもお年寄りでも安心して食べられる。

同店は天保三(1832)年創業の老舗。現在の場所に移転したのは昭和27年のことで、御池煎餅は明治の終わりごろから作られたものを先代当主が改良したものだとか。草加煎餅やたまご煎餅、炭酸煎餅など、煎餅の種類は多いが、御池煎餅はその味わいや食感、見た目など、どれを取ってもやっぱり「京都」な煎餅だ。

この煎餅、中身の味わいはもちろんだが、その缶にも注目すべし。かつては紙を貼っていたラベルが、いまは印刷になっているが、その色は以前と変わらない。そして力強い「相傳 御池煎餅 京ト 亀屋良永」の文字。しばしその迫力に目を奪われる。それもそのはず。このラベルは、故棟方志功の版画なのだ。そう思うと空き缶すらおろそかにはできない。中身も容器も私の心をとらえて離さない京土産のひとつだ。

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写真はその御池煎餅と缶。もうすっかり食べてしまって、この2枚が最後(笑)。

■亀屋良永
■京都市中京区寺町通御池下ル
■075-231-7850
■日曜日、第一、第三水曜日休

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よーじやカフェ 嵯峨野嵐山店

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嵐山の食事処といえば、嵐亭などの料理旅館や湯豆腐などが定番だ。気軽にランチ、という雰囲気のお店は意外に少ない。そんな中で、女性一人でも気楽に入れて、意外にくつろげるのが「よーじやカフェ 嵯峨野嵐山店」。嵐電嵐山駅からは5分ほど。和風の外観建物の右半分はカフェ、左半分はよーじやのグッズを売る店舗になっている。

カフェはランチのほか、スイーツやサンドイッチ、ドリンクなどがあるが「何じゃこれは?」と思うのが、カプチーノ。泡立つミルクの上に、シナモンパウダーで描かれた、よーじやのトレードマークの女性の顔。ステンシルを使っているようだが、結構インパクトが大きい。ちょっと飲むのもためらわれたりする。この女性の顔はあんみつについてくるクッキー(?)にも、お皿やランチョンマットにも描かれている。ついてくるおしぼりもよーじやのグッズ。こうなれば、つい隣の店舗にも足を運んでしまう。なかなか商売上手だ。

なお、嵐山近辺に、この手のお店が少ないせいか、ランチタイムは平日でもかなり混む。秋のハイシーズンは並ぶ覚悟でどうぞ。

■京都市右京区嵯峨天龍寺立石町2の13
■075-865-2213
■10時〜18時(LO17時30分) 無休

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丹波黒大豆

今回は先日紹介した篠山の黒豆大福のおまけ。
黒豆大福に使われている丹波黒大豆は、丹波地方の特産品だ。その中心が篠山市。篠山城の城主、青山氏が徳川吉宗に丹波黒大豆を献上したという記録も残っている、古くからの名産だ。

丹波黒大豆の特徴は大粒で糖分が多いこと。寒暖差が大きく、霧が発生しやすい丹波地方だから大粒の豆が育つ。丹波黒大豆を他の地方に持って行っても、それほど大粒にはならないというから不思議だ。

もう、シーズンは終わってしまったが、10月中旬から下旬に駆けては丹波黒大豆の枝豆の収穫シーズン。篠山市内ではあちこちの畑に枝豆の直売所が設けられたりしている。

よく、居酒屋などで「丹波黒大豆の枝豆」というメニューがあったりするが、それが本ものかどうか見分ける方法がある。大粒の丹波黒大豆は、さやのほとんどが二粒ざやか一粒ざや。三粒ざやは一株にひとつかふたつぐらいしか見つからない。四つ葉のクローバーのようなものだそうだ。従って、でてきた枝豆の中に三粒ざやがたくさんあれば、それはフェイクの丹波黒大豆。産地偽装である。

それから、丹波黒大豆の枝豆は熟してくると、さやに黒い斑点が出始める。これを傷んでいると勘違いする人もいるそうだが、さにあらず。おいしい証拠だ。また、中の粒も成熟とともに緑からややピンクがかった色になり、やがて紫、黒と変化していく。

11月も下旬になると、今度は黒豆の収穫が始まる。豆が十分に乾燥し、出荷できる状態になれば、年の瀬も間近だ。

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写真は丹波黒大豆の畑

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丹波栗菓匠 大福堂の栗餅と黒豆大福

今回は脈絡もなく丹波篠山のお菓子などを紹介してみたい。
兵庫県の丹波地方は、豊かな山の幸に恵まれた土地柄だ。栗に松茸、丹波黒大豆、丹波大納言小豆、山の芋、さらにはぼたん。これはイノシシのことね。いずれも丹波ブランドを支える特産品だ。

いまの季節、町の土産物店や八百屋などには黒大豆の枝豆とともに、大粒の栗が並ぶ。丹波の栗は粒が大きいのが特徴だ。この栗を使ったとてもおいしいお菓子を地元の和菓子店で見つけた。

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丹波栗菓匠「大福堂」の栗餅はつきたての柔らかいお餅を栗あんで包んだ素朴な味わいのお菓子。栗あんは栗だけで作られ、甘さも控えめ。ほくほくした味わいに山の空気を感じる。京菓子のような繊細さはないが、素材の持ち味が生かされているのは産地ならでは。秋だけの特別なお菓子だ。デリケートで、日持ちはしないので注意。

Kuromamedaifuku

やはり地元特産の丹波大納言小豆と、丹波黒大豆を使った「黒豆大福」もある。「出町 ふたば」の豆もちに似ているが、あちらは富良野の赤えんどうを使っている。こちらは黒大豆なので豆が大粒で、食べごたえがある。

同店はささやま市役所や篠山城趾近くにあり、2階は食事スペース。ここで抹茶とお菓子をいただくこともできる。

■丹波栗菓匠 大福堂
■篠山市北新町121
■(079)552-0453

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祇園小石のあめさん

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関西では「おいもさん」「おかい(粥)さん」「おあげさん」など、食べ物に「さん」を付けることがある。これは御所ことばの影響があると聞いたことがあるが、実のところはよく知らない。

京都でも大阪でも〜さん、と敬称を付ける食べ物は多いが、あめに関しては京都では「あめさん」であり、大阪では「あめちゃん」になる。なぜか幼児語だ。女子どもだけではなく、大の男でもそう。祖父もそういっていたし、いまは当時の祖父と同じぐらいの年齢になった父も、やっぱりええ歳をした娘に向かって「あめちゃん」という。いずれにせよ関西圏以外で食べ物に敬称を付けるところは少なそうだ。

しかも、「さん」や「ちゃん」を付けられる食べ物が限定されているのも興味深い。「おいもさん」「お豆さん」とはいうが、「お米さん」とはいわない。「おかいさん」とはいうが、「ごはんさん」とはいわない。あめちゃん、あめさんとはいうが、おせんべさんとはいわない。「さん」「ちゃん」を付けられる食べ物には、何か共通項があるのだろうか。自分ではいまのところ、解決を見ていない。

それはさておき、写真は祇園小石のあめである。京都のお菓子なので一応「あめさん」と呼ぼうか。実に多彩な種類のあめがそろう祇園の有名店だ。いつ訪れても買い物客で賑わう人気のお店。

今回購入したのは、透明なピンクに紫蘇が透けて見える「しそ梅」と、砂糖、水あめ、抹茶だけを原料にした「お濃茶あめ」、冷蔵庫で冷たく冷やして食べる「京ひんやり」のグレープ味の3点。これらはいずれも「有平糖」と呼ばれるもの。砂糖を高温で煮詰めて作るそうだ。そのため、風味が普通のあめとはひと味違う。

さわやかな紫蘇の香りが鼻に抜けるしそ梅、甘さの中にお茶のほろ苦さが生きたお濃茶あめとも、なめらかな口当たりに、素材の味や香りが生きている。かまずに口の中でいつまでもころがしていたくなる。色紙のような「京ひんやり」もきれいだ。

伝統的な直火釜炊き製法で造るあめは小粒でかわいらしい。これは舞妓さんのおちょぼ口でも食べられるように作られているからだそう。舞妓さん好みというのも、人気の理由のひとつかも知れない。ちなみに「祇園小石」という店名は、祇園小唄の「祇園恋しや だらりの帯よ」からとられたのだとか。

■〒605-0073 東山区祇園町北側 286−2
■075-531-0331  FAX 075-531-0469
■10:30〜19:30(季節により延長あり)
http://www.g-koisi.com/index.php

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シェ・ラ・メール

人間、おいしいものを食べるとついほほえんでしまう。酔っぱらって愚痴ってる人にはたまに出会うけど、怒りながらケーキを食べている人にはあまり出会ったことがない。

シェ・ラ・メールのケーキもついほほえんでしまうもののひとつだ。特にこの「菓子の木」は、私がオトメかどうかはさておき、オトメゴコロをくすぐる。だって、見るからに楽しそうだもの。

たっぷりの生クリームが詰まった生地。中にはいちごだのキウイだのバナナだのフルーツがたっぷり。なんてきれいなんだろう。しかもシュークリーム?まで入っている。これでうれしくないわけがない。もちろん、見た目だけではない。甘さの加減もほどよく、ああ、幸せ。お皿の上のケーキがなくなるのが惜しく思えた。

寺町界隈というのは、なかなか行く機会もないのだけど、また訪れたい一軒。ケーキをオーダーする、なんていうぜいたくもしてみたい。
■京都市中京区久速院前町673-1(寺町通夷川上ル西側)
■075-241-0765
■10〜18時 第3水曜休(祝日の場合は翌日)
http://www.geocities.jp/chez_la_mere/index.html
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GOKAN/五感 北浜本館

今回は大阪のお話。
大阪の北浜界隈は証券取引所があることで知られているが、江戸時代の初期から米市場があったり、両替商や米問屋、米仲買などの業者が集まる大阪の経済の中心地だった。大阪株式取引所(現在の大阪証券取引所)は1878年に設けられ、証券街としても賑わった。そのため、この一帯には明治から大正にかけて建てられたレトロな西洋建築が何棟か、現在も残されている。

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堺筋沿いに立つ「新井ビル」もそのひとつ。これは大正11年の建物。築85年になる。ここに入っているのが一昨年オープンした「GOKAN/五感 北浜本館」。もう有名店だけど、私のお気に入りパティスリーのひとつだ。国産小麦や天然ミネラルシュガー、平飼い自然卵など、安心で安全な食材を使い、和の心を生かした和魂洋才のお菓子作りがモットー。

たとえば、山梨産の桃を使った生パイや、北海道産のマスカルポーネとオーガニックメープルを使ったケーキなど、産地がはっきりわかるものが多いのが特徴。食の安全が気になる今日このごろ、これはウレシイ配慮だ。丹波大納言を使ったケーキや宇治の有機抹茶を使ったジュレなど、和の食材も随所に生きている。ほかにも焼き菓子やパイなども。いずれも店内で作ったできたてのお菓子ばかり。やさしい味わいのケーキは、心までふんわりあたためてくれるようだ。
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同店2階はサロン。レトロムード漂う店内で、ケーキセットやランチを食べることができる。ランチは「大地のデジュネ 五感ランチセット」(893円)1メニューのみ。地粉を使ったクロワッサンとブリオッシュ、京都の美山から届くという自然栽培の野菜のサラダ、スライスチーズ、ソフトサラミなどが付いている。これを好みでパンにはさんだり、そのまま食べたり、自分のスタイルでどうぞ、というわけだ。

このパンがいかにも焼きたて。クロワッサンは口に入れるとほろほろと崩れてくるけど、外はパリパリ、中はふんわり。香りもいい。サラダも野菜の味がしっかりする。もちろん、デザートとドリンク付き。ドリンクは有機栽培のコーヒーか紅茶、ジュースがあることも。ボリュームもしっかりあって、満足度も高い。ランチは午後3時まで、休日も営業しているので、ランチを食べ損ねたときにも安心。建物と食事とケーキが楽しめる、この界隈では貴重な一軒だ。

■大阪市中央区今橋2-1-1 新井ビル
■06-4706-5160
■10:00〜20:00(オーダーストップ19:30)不定休
http://www.patisserie-gokan.co.jp/
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出町ふたばの豆餅

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 京阪「出町柳」駅から西へトコトコと歩く。河原町の今出川あたりは、普通の街の普通の商店が並ぶ街並みが続くが、その中に一軒、長い行列ができている店がある。午前中に行っても、夕方に行っても、平日でも行列ができている。いわんや休日をや、である。

 ここは「出町ふたば」。いわずと知れた豆餅のお店。創業は明治32年。で、みんなが行列を作って求めているのは、やっぱり豆餅(1個160円)。十勝の小豆や富良野の赤えんどうなど、厳選した食材を集めて作る豆餅はやわらかな羽二重餅と、ほんのり塩味の豆、甘さ控えめのこしあんのバランスがとてもよい。後味もさっぱりしていて、思わず2個目に手が伸びそうなおいしさ。渋いお茶と一緒にいただくと、一層おいしい。それから、同店に行ったらお品書きをぜひもらって欲しい。まるでアイコンのように小さなお菓子の絵がずらりと並んだお品書きはとてもかわいい。

 この豆餅は百貨店などでも購入できるが、やはり本店で作りたてを買いたい。だって、1時間もすれば豆餅は少しずつ硬くなってくるのだ。お店の中で、店員さんがせっせと豆餅を作っているのを見ながら並んでいるのは、意外に苦痛にならない。柔らかくてできたての豆餅を、鴨川の河原に座ってさっそくほおばるのもこのお店ならではの楽しみ。これからの季節は河原の風もきっと気持ちいいだろう。

■京都市上京区出町通今出川上ル青龍町236
■075-231-1658
■8:30〜17:30 火曜日・第4水曜日(祝日の場合は翌日)休

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京つけもの 村上重本店

子どものころから、漬物が嫌いだった。母親のつけるぬか漬けの匂いが、どうにも耐えられなかった。母親がぬか漬けをかき混ぜるときには、匂いの届かないところに避難していたものだ。以来、大人になっても漬物にはほとんど手を出さずに暮らしてきた。

その私の心を開いたのが、京漬物だ。昔から見知ったぬか漬けとはまったく違う、繊細な味わい。いや、最初から積極的に、京漬物に手を出したわけではない。ただ、京都に行けば、たいていの食事には香の物が付いてくる。その度に少しずつ、京漬物の味を覚えていった。

京漬物が他の漬物と違うのは様々な理由が考えられる。海が遠いため塩干など食品の保存技術が発達したこと。良質の野菜や水に恵まれていたこと。冬が寒いこと・・・。想像をたくましくするなら、貴族の口に合うよう、漬物の味わいが洗練されていったともいえるかも知れない。

京漬物の中でもっともつきあいが長いのが、四条木屋町下ルにある創業170年の老舗「村上重本店」。同店を知って、もう12年目になる。名物の千枚漬けは寒い時期しか出ないが、店内には季節のお漬物がずらりと並ぶ。夏ならもぎ茄子や瓜の昆布漬などが旬。通年商品も多彩。私のお気に入りはキュウリを青紫蘇で漬け込んだ胡瓜の京高瀬や大根の柚子風味漬けなど、あっさりしたもの。アツアツの炊きたてごはんに、京高瀬や刻んだ壬生菜のお漬物があれば、もうそれだけで幸せな朝ご飯だ。
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写真は村上重の「胡瓜の京高瀬」と「茄子のぶぶ漬け」。塩味と酸味のバランスがよく、さわやかな風味が食欲を刺激する。

■村上重本店
■京都市下京区西木屋町四条下る船頭町190番地
■075-351-1737 FAX:075-365-0871
■営業時間:平日9時〜19時、土・日・祝日9時〜19時30分

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上七軒老松 夏柑糖

京都五花街の一つ、上七軒。京都で一番古く、元々は一番格式も高い花街だったが、現在は祇園や先斗町に比べると、繁華街から離れていることもあり、いささか地味だ。だけどそれだけに、古い町家もたくさん残っていて、風情ある街並みに出会える。夏、この街を歩くと、一軒の店先に「夏みかん」の箱がどっさり積み重ねられているのに出会う。

この店は有職菓子御調進所「老松」。明治41年創業と京都の和菓子店では比較的新しいが、有名どころとして知られている。四季折々のお菓子があるが、夏を代表するのが「夏柑糖」。夏みかんの中身を丸ごとくりぬき、砂糖と寒天を合わせて、皮に戻して固めたお菓子。上七軒の数寄者のお客さんのために作ったのが始まりだそうだ。

半分に切られた切り口から立ちのぼる夏みかんの香り。本ものの夏みかんの匂いは久しぶりだ。舌で味わう前に、まず目と鼻で賞味する。黒い斑点が散る皮、ゴツゴツした無骨な肌触りも夏みかん独特。そしてひと匙すくってみる。本ものの寒天を使っているだけに、ゼリーよりももろく、スプーンが入るときも「サクッ」という感触だ。そしていよいよ口へ。

きっと酸っぱいんだろうな。そう思うだけで口の中に唾液が湧いてくる。頬の奥が絞られるような錯覚に陥る。実は私は柑橘系が苦手だ。みかんですら、3年に1個食べればいい方だ。まして、夏みかんなんて、今世紀どころか、昭和のころから食べていない。一番最後に食べたのがいつかすら思い出せない。

おそるおそる口に運んで意外な甘さに驚く。夏みかんの香りやほろ苦さはそのまま生かされ、酸味だけが弱められたような感じ。これなら大丈夫。口の中で砕ける食感に、ああ、これは和菓子なんだと再認識する。夏の暑さに寒天の舌触りがうれしくて、つるつるとのどの奥に滑り込んでいく。半分の夏柑糖はあっという間に消えてしまった。

ところで、私が夏みかんを食べなかった間に、夏みかんは甘夏やグレープフルーツに取って代わられ、いまや店頭にすら並ばない。老松でも萩と和歌山の農家で作ってもらい、品物の確保と種の保存に努めているそうだ。そう思うと、とても貴重なものを食べた気がする。

なお、今回夏柑糖を食べたのは、同店の嵐山店内にある茶房「玄以庵」。ちょっとしたギャラリーのようなシンプルな店内ではデンマークのボーエ・モーエンセンの家具を使っている。天然木の一枚板のテーブルはなかなかのものだ。

■京都市上京区北野上七軒
■075-463-3050 FAX:075-463-3051
■8:30-18:00 無休

嵐山店
■京都市右京区嵯峨天龍寺
■075-881-9033 FAX:075-872-2889
■9:00-17:00 無休

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亀屋良長 烏羽玉

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小豆よりも黒く、つやつやと光る直径2センチあまりの小さなお菓子。四条醒ヶ井にある老舗・亀屋良長の「烏羽玉」だ。晒し餡を黒糖で似たものを丸め、寒天をかけたお菓子は創業以来200余年に渡って作り続けられてきた。

ピンクや黄色や緑など、やさしく美しい色合いの多い和菓子の中で、烏羽玉のシンプルな姿はかえって目を引く。そしてその味わい。餡よりも黒糖の味が勝ち、ぼそぼそとした舌触りを、寒天がかろうじて押さえている。同店の他の商品に比べれば、少し洗練度が足りないようにも思える。だけど、口に広がる黒糖の風味が懐かしく、いつまでも慈しみたくなる味だ。

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同店は四条醒ヶ井の地にある。この醒ヶ井、かつては京都の三名水の一つに数えられた井戸だ。しかし昭和37年の阪急地下鉄の工事以来、30年にわたって枯れたままとなっていた。平成3年、現在の社屋を新築した際もう一度掘り直した結果、新たに水がわき出した。これを醒ヶ井と命名し、現在も菓子作りに使用しているそう。こんこんとわき出す水は真夏でも冷たく清冽だ。お店の人に頼めば、分けてもらうこともできる。

ちなみに「烏羽玉」とは、桧扇という植物の実のことをさす。漆黒の実は「ぬばたま」とも呼ばれ「黒」「夜」「闇」「夢」などにかかる、和歌の枕詞にもなっている。
「居明かして君をば待たむぬばたまの
   我が黒髪に霜はふるとも」(万葉集巻二 八九 磐姫皇后)

■京都市下京区四条通堀川東入北側
■075-221-2005 FAX075-223-1125
■午前9時〜午後6時 無休

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鮨・割烹「きよす」の「つけもの寿司」

世間では、にぎり寿司といえば「魚」が乗っているのが相場だ。マグロにホタテ、ハマチにサーモン。寿司ネタはいろいろだが、私はアジやイワシなどが好きだ。すし飯には魚の脂がうまい。

だが、京都には脂の片鱗もないのに、とてもおいしいお寿司がある。寺町今出川上ルにある鮨・割烹「きよす」の「つけもの寿司」。割烹とはいいながら、ちょっとしたビストロのような、小じゃれた外観の同店は、カウンターと小さな個室が3つほどのこじんまりしたお店。カウンターの向こうの陶板もモダンで、割烹というよりは、和風のバーという雰囲気だ。

つけもの寿司はここのランチメニュー。夜のコースなどではその中の一品としても供される。寿司ネタのお漬物は自家製。季節に合わせて変わる。私が訪れたときには、グリーンボールや茄子、キュウリ、瓜、壬生菜など見た目も涼しげな、夏野菜のつけもの。そして驚くのはその漬かり加減。野菜本来の味わいを逃がさず、つけもののうまみもほどよく感じられる絶妙の味。さらに、すし飯ともちょうど合う状態なのだ。

一口食べると、野菜のさわやかさにほのかな塩味や生姜の香りなど、複雑かつ繊細な味わいが渾然一体となる。いわゆる「つけもの臭さ」も一切ない。食欲のない夏でも、これならおいしく食べられそうだ。ただし、ボリュームはかなり少なめ。女性でも腹八分目程度。私のような食いしん坊には少し物足りない。もう一皿ぐらい食べられそうな気がする。

それから、つけもの寿司は注文から出てくるまでかなり時間がかかる。時間が気になる場合は、予約をしていくのがおすすめだ。また、折り詰めにもしてもらえるのでお弁当などにも。

■京都市上京区寺町通今出川上ル西側
■075-231-5121 
■月曜定休 11:30〜13:30 17:00〜22:00 Photo

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「月波楼いさく」の馬のたてがみ

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まずは写真をご覧いただきたい。奥に見えるのはご覧の通り鴨ロース。冬には脂がのってうまみたっぷり。おまけにこの写真ではベストパートナーのネギまで伴って、美味きわまりない。お酒にもよく合う。写真を見ているだけで、よだれが出てきそうだ。

一方、手前の白いもの。これが何かわかる方は九州の方だろうか。それとも食通だろうか。私はこの日が初対面だった。これは馬のたてがみ。といっても、上に乗っている髪の毛のようなものがそうなのではない(これは何か聞いたけど酔っぱらって失念してしまった)。この白いものは、馬のたてがみのところにある脂。背脂といったところか?

最初、脂と聞いて、口に入れるのをいささかためらった。もしかして臭い?だって、脂でしょう?いや、実はかなりの抵抗があったのだ。でも、周囲がいかにもおいしそうに食べている上、これは滅多に入らない珍味だと聞いて、チャレンジしてみた。そしてオドロキ。

一口食べて、口の中でとろりととろけるような味わい。馬と聞いて予想していた野性味は、ほとんど感じられない。聞かなければ馬とは思えない、上品な味わい。そして嚥下したあとに広がるほのかな甘さ。甘美な初体験に酔いしれた一夜だった。

この料理を食べたのは、西洞院姉小路下ルにある「月波楼いさく」。コースもあるが、アラカルトも充実。「うるか」や「からすみ」など、お酒に合いそうな珍味の品揃えも豊富だ。さらに同店で使用する水は、名水「桃の井」の水。キンシ正宗発祥の地、堀野記念館の井戸から湧き出る水だ。米もその日使う分だけを精米するというこだわりぶり。町家を改装した店内は和モダンな空気が漂う大人好みのお店だ。

■京都市中京区西洞院通姉小路下ル姉西洞院町547-1
■TEL/075-221-5808
■FAX/075-221-5808
■営業時間/午前11時30分〜午後2時30分、午後5時〜午後10時 定休日/火曜日

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京銘菓 阿闍梨餅

京都のお菓子はいろいろあるけれど、お手ごろ価格でおいしくて、何度も買いたくなるもののナンバー1が満月の阿闍梨餅。その評判はつとに有名なので、京都以外の人にも十分知られていると思うが、それでもやっぱり紹介したくなる。

一見つぶれたおまんじゅうのように見える阿闍梨餅は、その名の通り、比叡山の阿闍梨がかぶる網代笠の形を表しているのだとか。一口かじると、その食感はおまんじゅうにあらず。しっとりと柔らかく、歯ごたえはもっちりとやはり餅に近い。中には絶妙な甘さの粒あん。決して主張しすぎず、しかしほどよい存在感で皮の味わいと交じり合う。ああ至福。一つ食べてもまたもう一つと手が伸びてしまう。

そういえば、先日京都の某ホテルのロビーで満月の手提げ袋が置き忘れられていた。おそらく中身は阿闍梨餅。しかも少なくとも20個は入っていそうな大きさだ。お持たせだったのか、自宅へのおみやげだったのか。持ち主はずいぶん悔しい思いをしたに違いない。

幸い、阿闍梨餅は本店以外でもあちこちで購入することができる。京都市内なら、大丸や高島屋、京都駅のポルタやキューブ、伊勢丹、新幹線のコンコースなど、随所に取扱店がある。そのほか、大阪や東京でも買うことができる。でも、やっぱり本店で買った方がおいしく感じるのは、気のせいだろうか。

京菓子司満月
■京都市左京区鞠小路今出川上ル
■075-791-4121(代)
■営業 午前9時〜午後6時 不定休
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オ・グルニエ・ドール

京都の町を歩いていると、100年単位の老舗にごろごろ出会う。100年前なんて、明治時代。まだ若い方だ。中には300年、400年という歴史を刻んだ店も多々ある。老舗は名店だからこそ生き残ってきたのだろうが、名店だから老舗だとは限らない。

堺町錦上ルにあるパティスリー「オ・グルニエ・ドール」なんかはその好例だ。開店して数年、すでに押しも押されもせぬ名店にのし上がっている。その店構えはうっかりすると見逃しそうなほど目立たない。初めてなら、店舗脇の祠を目印にしておくといいかもしれない。実際、私は初めて訪れたとき、見過ごして何度も前を行ったり来たりしたのだ。

店内も典型的なうなぎの寝床。だけどそこはパティスリー。そこはかとなくフレンチテイストが漂う(ってフランスに行ったことないけれど)。ケーキは看板商品のピラミッドを始め、リンゴのタルトや木の実のタルトなど多彩。どれもていねいに作られているという印象がある。ほかにお持たせによさげな焼き菓子も。

今回頼んだのは木の実のタルト。様々な木の実の食感と香ばしさが広がったあと、ほのかにやってくるほろ苦さ。これは大人の味わいかも。ケーキ職人の技を感じられる店だ。

ケーキを始め甘いものというのは、諸般の事情から若干の罪悪感を感じつつ食べることが多いが、同店のケーキを食べるときには、そんなことは後回しだ。明日の体重は明日が心配する。目の前のケーキの魅力は、そんなことも忘れさせるほど大きい。また、京都に行ったら食べてみよう。

なお、ティールームはいつも混んでいることが多い。待たされることもしばしばなので、その点は覚悟して行くべし。

●京都府京都市中京区堺町錦小路上ル527-1
●TEL/075(213)7782 FAX/075(213)7783
●営/11時~19時
●休/水曜・月1回火曜(不定休)

写真は木の実のタルト
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上七軒 くろすけ

北野天満宮のすぐ近く、上七軒にある豆腐料理のお店。明治創業のお茶屋の建物を使った店舗は重厚な外観。店内も落ち着いた雰囲気で、昔の風情をそのまま伝える。そこはかとなく艶っぽいのはお茶屋さんだったせいだろうか。私たちが案内されたのは急な階段を上がった2階。ちょっぴり畳が傾いているような気がするのは、お店の年輪と考えよう。

お料理は前菜から豆腐料理がずらり。竹筒に入った汲み豆腐は、大豆の味がしっかりするのに、口に入れると淡々と消えゆくはかなげな舌触り。私が行ったときは7月ということもあり、鱧を使ったお料理もいくつか登場した。締めは黒豆のおこわ。夜のコースは5250円。ちょっと特別な日のディナーに、ちょうどいい雰囲気とお料理だった。

上七軒 くろすけ
■住所 京都市上京区今出川七本松西入真盛町699(上七軒歌舞練場前)
■電話番号 075-466-4889
■営業時間 11:30〜15:00 17:00〜22:30
■定休日 火曜日Photo_4
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