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「源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学41」 柏木君、ちょっと来い(1)

■おののく二人、傷つく光源氏

さて、唐突ですが、みなさま、不倫が相手の配偶者にばれてしまった、という経験をお持ちの方はいらっしゃるでしょうか。私は幸い?そういう経験がないのですが、そんな時、人はどう振る舞うのでしょう。「ばれたら仕方がない、とことんやってやる」と開き直るのか「こうなったら、奥さんと勝負よ!」と闘志を燃やすのか、あるいは「ばれてしまったどうしよう」とうろたえるのか。

いま、柏木はちょうどそんな状況におかれています。しかも彼は開き直ることもなく、ただひたすらいたたまれず、光源氏を恐れ、まるで病気のように床につく日々が多くなっていました。そんな中、柏木の妻で女三の宮の異母姉の女二の宮が父・朱雀院の五十賀を行うことになりました。五十歳の長寿を祝うお祝いです。

当時は50歳でも長寿です。朱雀院は病気で明日をも知れない、といって光源氏に娘を降嫁させてからもう何年も生きながらえています。一体本当に病気なのかどうか、単に人の気を引きたいだけじゃないか、と思ったりもします。とまれ、最近引きこもりがちな柏木も、気分が優れないながらも何とか気持を奮い起こしてこの行事に参加しました。柏木の父で致仕の太政大臣(昔の頭中将)のバックアップもあり、女二の宮のお祝いは見事なものでした。

しかし、出家しても朱雀院の気にかかるのは一番カワイイ女三の宮のこと。しかも最近光源氏の訪れがほとんどないと漏れ聞いたようで、どういうことかと光源氏を恨めしく思っている様子。紫の上の看病のためだと思っていたようですが、どうやらそうでもないような…。もしやと思い、朱雀院は女三の宮に様子をうかがう手紙を送ることにしました。

その手紙は光源氏もいるときに届きました。さすがに朱雀院には申し訳なく、心苦しく思う光源氏ですが、「あなたが幼稚だから朱雀院も心配するのです。私が朱雀院の期待に添えないようで心外ですね。あなたは私のいうことを浅はかだと思ってるんでしょう。もうオッサンだし、飽きたんじゃないの?でも、朱雀院が私をあなたの後見に選ばれたんだから、あんまりなめたまねはしない方がいいよ。朱雀院にもし、あなたの不祥事が知られて心配をおかけしたら、来世の成仏の妨げになるかもね。その罪は重いんだよ」などと女三の宮に対することばは辛辣です。

このあたりを読んでいると、光源氏、お前はいつからこんなに嫌なやつになったんだ、といいたくなります。いままで、女に嫉妬されることはあっても、真剣に嫉妬することはなかった光源氏。それが自分よりもはるかに年下の若造に、妻を寝取られたのです。おまけに女三の宮は子どものようで、自分を裏切るようなことはないと考えていたのでしょうか。老いの入り口にさしかかった光源氏にとって、女三の宮の不義というのはずいぶんとプライドを傷つけたようです。(次回に続く)

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載いたしました。

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