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「源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学38」 悲劇の幕は上がった(1)

Cat

■六條院の女性が集まって…
前回、柏木が女三宮の姿を偶然目にしてから、柏木の心は女三宮のことでいっぱいです。寝ても覚めても思うのは彼女のことばかり。挙げ句の果てに、女三宮の兄の東宮にうまく取り入って例の子猫を手に入れたりしました。柏木は子猫を懐に抱いて寝たり、まるで恋人のように扱うところが描写されています。

その後、物語では髭黒右大将の娘が蛍兵部卿宮の結婚、光源氏の実子の冷泉帝は譲位し、東宮が帝になりました。光源氏の娘の明石の女御は子どもも多く、このままいけば后になるでしょう。帝の妹の女三宮は内親王としての位も上がり、経済的にも安定しています。そんな中、光源氏の愛はやはり紫の上に注がれていましたが、紫の上の心にはずっと以前から、出家の願いが芽生えていました。しかし、その願いを光源氏に訴え出ても聞き入れてもらえません。出家すれば男女関係を絶たなければいけません。光源氏にはそれが耐えられなかったのです。つまり、光源氏のエゴだけで、紫の上は出家の道を閉ざされていました。

女三宮の父・朱雀院は50歳を迎えます。当時50歳といえば長寿の部類。女三宮が光源氏に降嫁したころ、体調が悪くて明日をも知れぬかもしれないなど、なんだかんだいいながらも、相変わらず朱雀院は健在です。もちろん、これはお祝いしなければということで、光源氏は女三宮主催の「五十の賀」のプランを練り始めました。

そこで思いついたのが「女楽」。六条院の女たちの合奏です。明石の君は琵琶の名手。紫の上は和琴、明石女御は箏の琴、そして女三宮は琴の琴(きんのこと)。この琴の琴は、光源氏手ずから指導したもの。そのため、最近は紫の上よりも女三宮のところに泊まることが多くなっていました。

朱雀院の五十の賀は2月10日過ぎの予定です。その前に試楽を行うことにしました。つまりは本番さながらのリハーサル。息子の夕霧に加え、その子どもたちや髭黒の子どもたちなど縁続きの子どもたちも呼び、とても賑やかです。おつきの女童たちも季節にあった美しい衣装を着て、彩り豊か。このあたりは源氏物語ならではの華やかさで、読み応えたっぷりです。

主役はいずれ劣らぬ4人の女性たち。女三宮は衣装だけがあるようで、小さくかわいらしい風情で、たおやかな青柳に例えられます。。明石女御はそれにもう少しつややかさや奥ゆかしさが加わり、いってみれば藤の花。匂い立つような美しさの紫の上は桜。明石の君は身分は低いものの、優雅で、花橘に例えられています。

無事、試楽が終わり、光源氏は紫の上と戻り、あれこれと語らいます。その中で再び紫の上は出家を願い出ますが、やはり光源氏は聞き入れません。その翌朝、紫の上は突如発病しました。胸が苦しくなり、熱が出ますが、光源氏に知らせないよう苦しみをこらえます。ところが、たまたま連絡のあった明石女御にそれを知らせたため、明石女御から光源氏に連絡が届きました。紫の上はそれから病みついてしまい、朱雀院の五十の賀も延期になってしまいました。光源氏は試しに場所を変えてはどうかと、紫の上を彼女が育った二条院に移して、転地療養することにしました。(次回に続く)

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載いたしました。

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