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「源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学35」40歳の光源氏に縁談が?(1)

■娘の婿になってほしい

前回、光源氏の息子の夕霧が、無事に幼なじみの雲居雁と結婚し、源氏物語は大団円を迎えたかのような区切りを付けました。今回からは「若菜」の巻に入ります。この巻は上下2巻で構成された、源氏物語では最も長い巻です。その内容もドラマに富み、心理描写に長けていて、あたかも近代小説のような趣。源氏物語は長いから読みたくない、という人には「ここだけでも」とおすすめしたい巻です。

さて、もうじき40歳を迎えようとする光源氏は「藤裏葉」の巻で息子が結婚し、朝廷からは准太上天皇の位を与えられました。女たちと暮らす六條院には朱雀院や冷泉帝を迎え、まさに栄華の極み。物語はそれを引き継いで語られます。

朱雀院は六條院を訪れたころから体調が思わしくなく、出家を考える日々でした。光源氏より少し年上の朱雀院は40過ぎ。いまなら人生真っ盛りという年代ですが、当時ならもう初老に近い雰囲気だったのでしょうか。できるだけ功徳を積もうと、さまざまな準備に取りかかる朱雀院には一つ、大きな気がかりがありました。

それは愛娘の女三の宮のこと。女三の宮の母親は藤壺女御と呼ばれた人です。先帝、つまり桐壺帝の前の帝の皇女で源氏として臣下に下った人ですが、朱雀院が東宮のころに入内しました。しかし、それほど身分も高くなく実家の後ろ盾も少ない上、朱雀院は朧月夜を寵愛していたため、不遇のうちに亡くなった人でした。それだけに朱雀院は後に残された女三の宮の行く末が心配で仕方なかったのです。

「何とか娘をいい人に縁づかせたい。私亡き後、心細い身の上になるのが気になって仕方がない。ちゃんと娘を愛して、しかもいたらない所は影できちんと教え導いてくれるような、安心できる人に託したい」と考え、結婚相手に思いを巡らせます。例えば夕霧。「将来有望な人物。独身の時に話を持ちかけるべきだった」とちょっと悔やんでいる様子。

すると女三の宮の乳母の一人がとんでもないことを言い始めたのでした。「六條院(光源氏)様こそ、そうした役割にはふさわしいのでは。いまだに恋愛には関心が深く、古いおつきあいの女性たちにも心変わりしないとか」「あんなスケベ男、とんでもない」と一瞬思った朱雀院でしたが、「いや、それもいいかもしれない」と考え直しました。「何人も妻はいるが、それを考慮する必要もあるまい」と朱雀院。女三の宮が内親王という高い身分だからこその自信かもしれません。

そのほかの婿候補については「蛍兵部卿宮は性格はいいけど、ちょっと軽薄で、頼りなさそう。柏木(頭中将の長男)はまだ官位が低い」などと、物足りなさを感じます。やはり婿候補には光源氏をおいてほかにないのでした。(次回に続く)

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載いたしました。

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