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2010年3月

「源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学34」 亀裂の修復と光源氏の繁栄(2)

Fujitoike

■藤の宴の夜に

4月を迎え、物語は初夏を迎えました。藤の花の咲くころです。内大臣邸の藤もきれいに咲き誇る夕暮れ、内大臣の長男の柏木が夕霧に手紙を持ってきました。「わが宿の 藤の色濃きたそかれに 尋ねやは来ぬ春の名残を」という歌が藤の枝に付けられています。「我が家のきれいに咲いた藤の花を見に来ませんか?」といったような意味ですが、藤の花と、娘を見に来ませんか?という二重の意味が込められています。つまり、もう結婚を許します、といったようなニュアンスですね。

こんな手紙をもらった夕霧は内心オロオロ、心臓バクバク。こんなことはやっぱり、その道の達人のお父さんに聞かなければ。恋の手練れの光源氏は「いよいよ来たか」という気分でしょうか。「わざわざお使いを差し向けられたのだから、早く出かけなさい」と急がせます。さらに「きれいにして行きなさい」と自分の衣裳を夕霧に与えました。息子のおしゃれまで気遣う点はさすが光源氏です。

念入りにおめかしした夕霧が内大臣邸を訪れると、その息子たちが出迎えます。内大臣は夕霧の様子を見て「お父さんの光源氏より立派だね。光源氏は美しいけど、まじめそうには見えなかった。この人は学問の才能もあるし、男らしくしっかりしていると評判だ」と夕霧をほめます。藤の花の宴が始まり、酒が出されたり、音楽を楽しんだり、夜は更けていきます。

宴もたけなわとなり、夕霧がお酒を断るのに苦労しているころ、いよいよ話は本題に入ります。内大臣は「藤の花のせいにして許してしまおう。待ちすぎたけど」と雲居雁との結婚を許しました。内大臣という重い立場になると、なかなか自分の本音も話せないものです。お酒の勢いを借りる必要があったのかもしれませんね。夕霧も「少し酔っぱらって苦しくなってしまいました。無事に帰れる自信もないので、泊まる部屋を貸してください」と、酔いにかこつけて柏木に頼みます。奥歯に物の挟まったようなやりとりののち、柏木は夕霧を妹・雲居雁の部屋に案内しました。

何年ぶりの再会でしょう。別れのとき、少年と少女だった二人は成長した姿で対面しました。若い二人には初夏の夜は短すぎたようです。原文では「明くるも知らず顔なり」とあります。夜の明けるのも知らない風で朝寝していたというのです。さらに寝起きの顔を「ねくたれの御朝顔、見るかひありかし」と描写しています。寝乱れた朝の顔も見がいがあった、というわけです。二人の情熱的な一夜を想像させる一文ですね。

この物語が記された「藤裏葉」の巻は、源氏物語の第1部を締めくくる巻です。夕霧と雲居の雁の結婚に続き明石姫君の入内、光源氏が准太上天皇の位を得た話のあと冷泉帝と朱雀院の六條院行幸という晴れがましいエピソードで結ばれます。光源氏の栄華ここに極まれり。まさに藤原道長の「この世をば我が世ぞと思ふ望月の 欠けたることも なしと思へば」の世界です。

今回は特に失敗というお話ではありません。むしろ、過去の失敗を修復し、光源氏が栄華を極めたというお話ですね。特に失敗を上げるとすれば失敗の修復は思いのほか大変だということと、「新婚初夜に朝寝坊をしてはいけません」ということでしょうか。

それよりも、今後の展開に要注目です。繁栄は衰退するもの、満ちたものは欠けゆくもの。光源氏の運命にも変化が訪れます。お楽しみに!(この項終わり) 

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載いたしました。

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サクラサク

3月ももうあとわずかだというのに、ここ数日肌寒いが、それでも春は着実にそこまでやってきている。京都でもぽつぽつと桜のたよりが聞こえ始めている。

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写真は平野神社の魁桜。3月中旬頃から開花が始まる。これが京都の桜のシーズンの幕開け。平野神社は約50種、400本の桜が咲く桜の名所だ。ソメイヨシノや八重桜など5月の初め頃まで桜の見頃が続く。平野神社は平安遷都とともに奈良の都からこの地に移されたという、歴史のある神社だ。

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一足早く咲いた魁桜に、訪れた人々はもう夢中だ。老若男女取り混ぜて、ケータイやデジカメを向ける姿が見られた。昔も今も、咲き誇る桜は日本人の心をとらえて放さない。

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「源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学34」 亀裂の修復と光源氏の繁栄(1)

■内大臣の迷い

前回お伝えした、玉鬘と髭黒の結婚、髭黒の前妻のご乱心から、1年半ほどが過ぎました。髭黒の前妻は子どもたちを連れて実家へ戻り、玉鬘は翌年男の子を産みました。さらに年が改まり、光源氏は39歳。もう立派なオッサンです。今回は再びその子ども世代に目を向けましょう。

光源氏は近ごろなにやら忙しげ。というのも明石の君との間に生まれた姫君が成長し、いよいよ東宮に入内する運びとなったため、その準備に奔走しているのです。紫の上や秋好中宮(六条御息所の娘)など、趣味のいい人達に練り香を作ってもらったり、書の名人に草子を作ってもらったり、立派な嫁入り道具をそろえようと躍起です。娘がやがて中宮となり、将来の帝の母となれば、光源氏の権力は絶大なものになります。東宮の心をとらえるためにも、いまから準備が必要です。当時の貴族にとって、娘は大事な大事な政治的持ち駒でした。

一方、この噂を聞いて落ち込んでいる人がいます。光源氏の親友だった内大臣、もとの頭中将です。この人は自分の娘が冷泉帝に入内していたのに、光源氏が秋好中宮を入内させたため、中宮の地位に付けることができませんでした。もう一人の娘・雲居雁を東宮妃にしようとしたところ、光源氏の息子の夕霧と恋仲になってしまい、それも叶わなくなってしまったのです。つまり、娘を使った栄達の道をことごとく妨げられた形です。それはおもしろくないでしょう。

さらに、雲居雁のことも気になります。夕霧との一見を知ったときには勢いに任せて二人の仲を裂いてしまいましたが、実のところちょっぴり悔やんでいたりします。雲居の雁はいまや美しい盛り。なのに縁談もなく、結婚もせず引きこもっている様子が不憫です。夕霧は家柄もよく、優秀な男子。トントン拍子に出世し、いまは宰相中将になって婿としても申し分ありません。誰かと結婚する様子もなく、かといって雲居雁に結婚を申し込む様子もなさそうです。噂では中務宮との縁談が持ち上がっている様子。内大臣は気が気ではなく、やはり折れてみるべきか…などと思いを巡らせているようです。

季節は巡り、春3月、内大臣は母・大宮の忌日に一族を引き連れ、極楽寺に参詣しました。極楽寺は伏見区深草にあったお寺です。光源氏にとっては亡き妻・葵の母であり、夕霧にとっては祖母に当たるため、知らん顔はできません。夕霧も参詣したほか、お経の供養などもさせました。夕方になり、春の終わりの風情と相まって、そこはかとなく寂しい風情が漂います。

内大臣は意を決して夕霧の袖を引きました。「どうしてあなたはそんなに怒っているのですか。きょうの仏様のご縁で、私の罪は許してください」などと夕霧に伝えます。身分の高い内大臣にこんな風に下手に出られては、さすがの夕霧も恐縮至極。「お許しのないご様子に遠慮しておりました」と答えます。しかし、話はそれ以上進まず、夕霧は中途半端な気持を抱えたまま、過ごすことになりました。(次回に続く)

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載いたしました。

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Sidaresakura2

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下鴨神社の御守りたち

えんむすび、学業成就、交通安全、厄除け…
人々はさまざまな願いを込めて御守りを授かる。自分のためだけでなく、夫や妻や恋人や、子どもたちのために、祈りを込めて御守りを求める。

それに応えているのか、それとも神社が商売上手になったのか、近ごろは御守りの形態も多様になってきた。オーソドックスな袋入りの御守りはもちろん、カード型やストラップタイプなどデザインにも工夫が凝らされている。果たして御利益や如何に、と思いたくなるがそれはちょっと胸に納めておこう。

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葵祭で有名な下鴨神社の御守りにはやっぱり葵の葉っぱがデザインされている。葵は源氏物語にも登場するが「あふひ=会う日」に通じることから、男女が会うことにかけて歌に詠まれたりする。下鴨神社の縁結びの御守りにも葵の葉があしらわれている。そのほか、葵の葉をかたどったハート型の心願成就の御守りや、御手洗川の神水を入れた球形の御守りなど御守りひとつ授かるにも迷いそうなぐらい種類が多い。


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梅の花が咲く季節、ひときわ目を引くのがあざやかなプラムピンクの御守り。これは境内にある光琳の梅の色で、梅の季節限定だそう。

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↓こちらが光琳の梅。確かに同じ色だ。御守りにも限定品とは「商売上手ですね」と思わずつぶやいてしまった早春の午後だった。

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「源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学33」 髭黒、危機一髪!?(2)

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■火取りの灰が… 本妻の思わぬ逆襲

そうはいっても玉鬘のところに行く時間が近づいてくるとと気もそぞろ。一刻も早く、若く美しい新妻のところへ行きたいと考えています。だけど外は空も暗くなるほどの雪。ちょっと出かけにくい天気の上、本妻が嫉妬するでもなく静かにしている様子を見ると、なかなか出かけられません。どうしたものかと眺めていると、本妻がやさしげに外出を促します。さすがの髭黒もこれには出かけるのをためらいますが、なおも妻は「他所にいてもせめて思い出してくだされば…」と穏やかに語りかけ、火取り(香炉)を取って、髭黒の衣装に香を焚きしめます。

新しい女のところに行く夫のために、おしゃれを手伝う本妻。その心の内はいかばかりでしょう。本妻本人は普段着姿でやせ細り、泣きはらした目で身をかまう余裕もなさそうです。髭黒はそんな本妻を見て、やはり愛しいと思いながらも、心は玉鬘のもとへとはやります。袖に小さな香炉を入れて、さらに香を焚きしめ、おしゃれに余念がありませんます。そこまでやってもたぶん、玉鬘は心を動かさないでしょうが、客観的に見れば、髭黒はなかなかの男っぷりです。

外では家来達が雪が小止みになったと話しています。そろそろ出かけようとする髭黒。そのとき、ものに寄りかかって静かにしていた本妻が、いきなり香炉を手にとってその中身を髭黒の後ろから浴びせかけてしまいました。周囲の人々が止める暇もない、あっという間のできごとでした。

あたりには灰がもうもうと立ちこめ、髭黒の目や鼻にも入ります。せっかくきれいに着飾ったのに、髪も衣装も灰だらけ。おまけにあちこち焼けて穴があき、焦げ臭くさえあります。一瞬のうちに滑稽な姿になってしまった髭黒。あまりのことに呆然としています。これではさすがに玉鬘のいる六條院には出かけられません。そうしている間にも物の怪が活動をはじめたようで、本妻はわめき、叫んでいます。その姿を見ると、さっきせっかく愛しいと思いかけた気持ちも、どこかへ消え去ってしまいました。

髭黒は玉鬘にその日はいけない旨を手紙で送りました。でも、玉鬘は髭黒が来られなくても全然平気です。そりゃあそうです。別に好きでも何でもないし、来られると疎ましいぐらいでしょう。手紙を見もせず、返事も出しません。髭黒はがっかりして、憂うつな1日を過ごしたのでした。

このシーン、源氏物語の中では数少ないドタバタ劇です。本妻の気持ちを考えると切ないものがありますが、女の気持ちを無視して灰だらけにされる髭黒を思い浮かべると、かなり滑稽です。

翌日、髭黒はもう一度玉鬘のところに行くため、焦げ臭い体を洗ったり、衣装を着替えたり必死です。お手つきの女房には「手のひらを返したような仕打ちは見ている私たちですら穏やかな気持にはなれません」といわてしまいます。髭黒自身がもう少し緩やかに事を運べばこんなことにはならなかったのかもしれません。性急すぎる結婚とその後の行動が招いた失敗、ともいえるでしょう。(この項終わり) 

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載いたしました。

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TAWAWA たわわ 京都 二条店

近ごろ、大学の学食というのはすっかり様変わりしているらしい。かつての安いけどマズイとか、ボリューム一辺倒といった状況からは遙か彼方に来ているようだ。

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TAWAWA二条店は、立命館大学朱雀キャンパスの7階にあるレストラン。学食と言うよりは、大学の中にちゃんとしたレストランが入っている、といった方がよいだろう。でも、学生たちにはきっととてもうれしい店に違いない。

というのもランチは京野菜のサラダやおばんざい、それに天然酵母のパンが90分間食べ放題。メニューはメインディッシュとおばんざいバイキング、パン食べ放題に自家製デザート、ドリンク付きで1200円。学生の毎日の食事にはちょっと高めだけど、ちょっとしたランチにはもってこいだ。もちろん、一般の人も利用できる。

メインディッシュは京野菜カレーか日替わりパスタ、日替わりの料理の3種類。おばんざいは千切り大根やひじきのたいたんなどオーソドックスな家庭料理がそろう。サラダのメニューも多彩だ。外食では不足しがちな野菜もここではしっかり取れる。写真は京野菜カレー。こちらもトマトやかぼちゃなど京野菜がごろごろ入っている。最近野菜不足かな、と思ったら立ち寄りたい一店だ。

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でも、実は密かに狙っているのが同店のデザートビュッフェ。毎週日曜と月曜の2日間のみで、90名限定というのもちょっとそそる要素だ。なお、予約優先だそう。

■TAWAWA たわわ 京都 二条店
京都市中京区西ノ京朱雀町1番地立命館大学朱雀キャンパス7F
■Lunch【火〜土】11:00〜14:00(LO)【日・月】11:00〜13:00(LO)
 Dinner【火〜土】17:00〜21:00(LO)【日・月】18:00〜21:00(LO)
 Dessert Buffet 毎週日曜日、月曜日/15:00〜16:30(90分)
■TEL/075-813-8310 FAX/075-813-8312
■http://www.kyo-tawawa.co.jp/restaurant/restaurant-nijyo/dessert.html

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「源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学33」 髭黒、危機一髪!?(1)

■物の怪に憑かれた本妻の運命は…

さて、前回物語一のモテ女、玉鬘が髭黒右大将と望まぬ結婚をさせられたお話をしました。すっかりうちしおれている玉鬘に対し、髭黒は有頂天。だってそうでしょう。相手は内大臣の実の娘、光源氏の養女と、後ろ盾も申し分ありません。このお嬢さんを妻にすれば、将来の見通しも明るそうです。

それ以上に、玉鬘が若く美しく、たしなみもあることが髭黒を喜ばせました。おまけに彼女は男性経験がありませんでした。読者からすれば当たり前のようですが、端から見れば、光源氏の養女になっていた人です。光源氏と肉体関係を疑う人もあったでしょう。ところが、予想に反して玉鬘が処女だったため、髭黒は完全に玉鬘に心奪われてしまいました。もう、ひとときも彼女と離れていたくないというのが本音です。できれば、女官として出仕するのさえやめてほしいようです。そこで髭黒は自邸を改修して玉鬘を引き取ろうと考えはじめました。

ところが、この自邸には髭黒の本妻と子どもたちが住んでいるのです。髭黒は本妻の気持ちも考えず、かわいがっていた子どもたちのことすらも目に入りません。自分と玉鬘のことしか考えない、自己チュー男でしかありません。いや、もしかしたら六條院に何人もの妻を住まわせていた光源氏のまねをしたかったのかもしれません。

この本妻は式部卿宮の娘です。つまり、紫の上の異母姉。親王の娘として大切に育てられてきました。容貌も美しく、世間の評判もよい人でした。普段はおっとりと気立てのよい人ですが、この何年かは物の怪に憑かれたため、正気でないときが多く、夫婦仲もそれに伴って冷めて来ました。

式部卿宮は髭黒が玉鬘を妻にしたと聞き、同じ屋敷で暮らさせるのは娘も恥ずかしく思うだろうと、娘を宮邸に引き取ろうと考えていましたが、本妻は「夫に捨てられた身で実家に帰るなんて…」と、髭黒邸で病床に伏せっていました。

髭黒だって木石ではありません。このような本妻でも長年連れ添った人です。少しはまだ情もあるのでしょうか。慰めのことばをかけます。でも、この人は口べたなのか、短慮なのか、いうに事欠いて「式部卿宮が不快に思われてあなたを自邸に引き取ろうとされるのは、とても軽率です。私を懲らしめようと思ってらっしゃるのでしょうか」などといいます。原文では「いとねたげに心やまし」とあります。憎たらしくてやらしい、という感じでしょうか。本来なら「申し訳ない」と考えるべきなのに、非常に利己的なことばです。こんなところに、髭黒の本性が見え隠れしています。(次回に続く)

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載いたしました。

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今宮神社と玉の輿

源氏物語の時代、結婚の形態は現代とは異なり招婿婚と呼ばれるものであった。婿は妻の実家に通い、妻の実家は婿の衣装など経済的な面倒を見る。その後、二人は独立して両親とは違う邸に住むこともあったが、こうした結婚において、妻の実家の財力というのはその後の夫婦関係にかなり影響を及ぼす。

もちろん、結婚の一番の基準になるのは双方の身分が釣り合うことだったが、それに加え、女は将来性豊かな婿を求め、男はいわば逆玉を狙った、というのが当時の結婚のありようだった。

さて、翻って現代。婚活などということばが登場し、婚活ビジネスもいろいろ登場しているが、同じ結婚するのなら、経済的に豊かな方がいい。玉の輿ねらいというのは今も昔も変わらない。ひとつ違うのは、現代は女性が玉の輿を狙うという点。

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京都・紫野にある今宮神社は1000年以上の歴史を持つ由緒ある神社だ。毎年4月に行われる「やすらい祭」は荒ぶる疫病の神・素戔嗚尊に安らいでもらおうと行われるもので、鬼たちが花傘を持って飛び跳ねるように踊る祭りだ。この神社は一時荒れていたが、その再興に努めたのが桂昌院。

桂昌院は徳川家光の側室で、五代将軍綱吉の生母だ。生家は京都堀川の八百屋で、身分も低かったが将軍に見初められ、将軍の生母となった。まさにこれこそ玉の輿。というか、彼女の本名が「玉」だったため、玉の輿という言葉が生まれたのだ。

それゆえ、今宮神社では玉の輿守りが授けられている。華やかな色合いの御守りには「玉の輿」と金文字が描かれ、お玉さんにちなんで野菜があしらわれている。この御守りを求めて、遠方からやってくる人もいるそうだ。玉の輿だけでなく、開運にも御利益があるそうなので、男性にもお勧めかもしれない。

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玉の輿守りを授かったら、おみくじにもチャレンジしたい。同神社のおみくじは、しおり型。開くと十二単の女性が描かれ、和歌が記されている。私が引いたものには光源氏が玉鬘に読みかけた「なでしこの とこなつかしき 色を見ば もとの垣根を 人やたづねむ」とあった。引いたあとはしおりとしても使うことができ、二度おいしい。

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お参りを終えたらぜひ立ち寄りたいのがあぶり餅の店。あぶり餅の店は参道をはさんで二軒建つ。まだ1軒しかいったことがないので、味の違いはわからないが、どちらの店先でも炭火であぶり餅を焼いている。このときはかざりやでいただいた。

香ばしい香りが漂い、思わず店先に腰を下ろしたくなる。たれは甘い味噌だれ。渋いお茶が恋しくなる素朴な味わいは炭火ならではの香ばしさ。持ち帰りもできるけど、やはり店先で焼きたてをいただくのが一番だ。

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店先でおばさんがあぶり餅を焼いていた。その手つきがおもしろくて「写真を撮らせてください」と頼むと、おばさんは少し照れた様子で、撮影に応じてくれた。

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■一和
■かざりや
■いずれも水曜休み。

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「源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学32」 物語一のモテ女、どうするどうなる?(2)

■まさか、あの男となんて!

玉鬘と男たちの関係は玉鬘が適度にあしらうことにより、微妙な均衡を保って続いていくように見えていました。

ところが、急転直下の出来事。男たちの恋文が続々届いているとした「藤袴」の巻の次、「真木柱」の巻は光源氏が髭黒右大将に「帝がお聞きになるのも畏れ多い。しばらくは世間にも知らさないように」と注意を与えているシーンから始まります。

読んでいる方としては「え゛?」という感じです。この台詞の後に続く玉鬘は「思いもよらない悲しい運命だわ」と嘆いています。そこから、玉鬘が髭黒右大将と望まぬ関係を結ばされたことが分かります。読者としては「何それ!?」といいたくなります。

髭黒は見れば見るほど美しい玉鬘の様子に大満足。「 石山の仏をも、 弁の御許をも、並べて預かまほしう思へど」とあるところを見ると、どうやら弁の御許(べんのおもと)という女房が髭黒を手引きしたようです。彼にすれば望みに望んだ若く美しい妻が手に入るのですから有頂天です。それに比して玉鬘は嘆き悲しんでいる様子。弁の御許のこともとても不愉快に思っているので、この女房は玉鬘のところに出ていくこともできません。

望まぬ結婚の初夜、玉鬘はどれほど驚いたことでしょう。痛ましい夜だったに違いありません。光源氏もこのような成り行きに不満を抱き、口惜しく思っています。それでも何とか耐えて、結婚の儀式は華やかに、立派に執り行ったのでした。

玉鬘も光源氏も喜べない結婚。父の内大臣は実のところちょっとほっとしています。内大臣の娘は冷泉帝のお后の一人、弘徽殿女御です。もし、玉鬘が宮仕えに出て帝の寵愛を受けることになれば、自分の娘同士で帝の愛を競わなければいけません。それは内大臣にとって不本意なことでした。

新しい妻を得て有頂天の髭黒は、昼間も光源氏邸の玉鬘のところに入り浸って彼女に夢中です。いままで堅物として知られてきた男ですが、ここへ来てすっかりめろめろになってしまったようです。そんなふるまいも疎ましくて、玉鬘はふさぎ込んでいます。彼女は在宅で尚侍という女官の仕事を始めましたが、彼女の部下たちが参上してもその様子は明らかです。だれからも見ても玉鬘がこの結婚を望んでいなかったことが分かります。

こうしてみると、王朝の女性たちの運命は、女房の判断一つで変わることもあるのだと分かります。もし、弁の御許が髭黒の申し出に乗らず、拒み通していたら、もしかしたら玉鬘は冷泉帝の寵愛を受けることになったかもしれません。何しろ物語一のモテ女ですから。髭黒との結婚が成功だったか失敗だったかはあとにならなければ分かりませんが、いまの玉鬘はきっと「女房選びを失敗した」と思っていることでしょう。(この項終わり) 

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Yamabuki

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