« 今宮神社と玉の輿 | トップページ | TAWAWA たわわ 京都 二条店 »

「源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学33」 髭黒、危機一髪!?(1)

■物の怪に憑かれた本妻の運命は…

さて、前回物語一のモテ女、玉鬘が髭黒右大将と望まぬ結婚をさせられたお話をしました。すっかりうちしおれている玉鬘に対し、髭黒は有頂天。だってそうでしょう。相手は内大臣の実の娘、光源氏の養女と、後ろ盾も申し分ありません。このお嬢さんを妻にすれば、将来の見通しも明るそうです。

それ以上に、玉鬘が若く美しく、たしなみもあることが髭黒を喜ばせました。おまけに彼女は男性経験がありませんでした。読者からすれば当たり前のようですが、端から見れば、光源氏の養女になっていた人です。光源氏と肉体関係を疑う人もあったでしょう。ところが、予想に反して玉鬘が処女だったため、髭黒は完全に玉鬘に心奪われてしまいました。もう、ひとときも彼女と離れていたくないというのが本音です。できれば、女官として出仕するのさえやめてほしいようです。そこで髭黒は自邸を改修して玉鬘を引き取ろうと考えはじめました。

ところが、この自邸には髭黒の本妻と子どもたちが住んでいるのです。髭黒は本妻の気持ちも考えず、かわいがっていた子どもたちのことすらも目に入りません。自分と玉鬘のことしか考えない、自己チュー男でしかありません。いや、もしかしたら六條院に何人もの妻を住まわせていた光源氏のまねをしたかったのかもしれません。

この本妻は式部卿宮の娘です。つまり、紫の上の異母姉。親王の娘として大切に育てられてきました。容貌も美しく、世間の評判もよい人でした。普段はおっとりと気立てのよい人ですが、この何年かは物の怪に憑かれたため、正気でないときが多く、夫婦仲もそれに伴って冷めて来ました。

式部卿宮は髭黒が玉鬘を妻にしたと聞き、同じ屋敷で暮らさせるのは娘も恥ずかしく思うだろうと、娘を宮邸に引き取ろうと考えていましたが、本妻は「夫に捨てられた身で実家に帰るなんて…」と、髭黒邸で病床に伏せっていました。

髭黒だって木石ではありません。このような本妻でも長年連れ添った人です。少しはまだ情もあるのでしょうか。慰めのことばをかけます。でも、この人は口べたなのか、短慮なのか、いうに事欠いて「式部卿宮が不快に思われてあなたを自邸に引き取ろうとされるのは、とても軽率です。私を懲らしめようと思ってらっしゃるのでしょうか」などといいます。原文では「いとねたげに心やまし」とあります。憎たらしくてやらしい、という感じでしょうか。本来なら「申し訳ない」と考えるべきなのに、非常に利己的なことばです。こんなところに、髭黒の本性が見え隠れしています。(次回に続く)

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載いたしました。

※若葉マークの源氏物語ブログ別館「千年前から恋してる!」引っ越しました!
アクセスはこちらから  http://wakabagenji-anex.cocolog-nifty.com/1000nenlove/

あなたの応援待ってます。ポチッとよろしく!↓
◇人気ブログランキング◇へ


Kouchiki_2

|

« 今宮神社と玉の輿 | トップページ | TAWAWA たわわ 京都 二条店 »

古典文学」カテゴリの記事

平安時代」カテゴリの記事

源氏物語」カテゴリの記事

源氏物語の失敗学」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 今宮神社と玉の輿 | トップページ | TAWAWA たわわ 京都 二条店 »