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「源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学33」 髭黒、危機一髪!?(2)

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■火取りの灰が… 本妻の思わぬ逆襲

そうはいっても玉鬘のところに行く時間が近づいてくるとと気もそぞろ。一刻も早く、若く美しい新妻のところへ行きたいと考えています。だけど外は空も暗くなるほどの雪。ちょっと出かけにくい天気の上、本妻が嫉妬するでもなく静かにしている様子を見ると、なかなか出かけられません。どうしたものかと眺めていると、本妻がやさしげに外出を促します。さすがの髭黒もこれには出かけるのをためらいますが、なおも妻は「他所にいてもせめて思い出してくだされば…」と穏やかに語りかけ、火取り(香炉)を取って、髭黒の衣装に香を焚きしめます。

新しい女のところに行く夫のために、おしゃれを手伝う本妻。その心の内はいかばかりでしょう。本妻本人は普段着姿でやせ細り、泣きはらした目で身をかまう余裕もなさそうです。髭黒はそんな本妻を見て、やはり愛しいと思いながらも、心は玉鬘のもとへとはやります。袖に小さな香炉を入れて、さらに香を焚きしめ、おしゃれに余念がありませんます。そこまでやってもたぶん、玉鬘は心を動かさないでしょうが、客観的に見れば、髭黒はなかなかの男っぷりです。

外では家来達が雪が小止みになったと話しています。そろそろ出かけようとする髭黒。そのとき、ものに寄りかかって静かにしていた本妻が、いきなり香炉を手にとってその中身を髭黒の後ろから浴びせかけてしまいました。周囲の人々が止める暇もない、あっという間のできごとでした。

あたりには灰がもうもうと立ちこめ、髭黒の目や鼻にも入ります。せっかくきれいに着飾ったのに、髪も衣装も灰だらけ。おまけにあちこち焼けて穴があき、焦げ臭くさえあります。一瞬のうちに滑稽な姿になってしまった髭黒。あまりのことに呆然としています。これではさすがに玉鬘のいる六條院には出かけられません。そうしている間にも物の怪が活動をはじめたようで、本妻はわめき、叫んでいます。その姿を見ると、さっきせっかく愛しいと思いかけた気持ちも、どこかへ消え去ってしまいました。

髭黒は玉鬘にその日はいけない旨を手紙で送りました。でも、玉鬘は髭黒が来られなくても全然平気です。そりゃあそうです。別に好きでも何でもないし、来られると疎ましいぐらいでしょう。手紙を見もせず、返事も出しません。髭黒はがっかりして、憂うつな1日を過ごしたのでした。

このシーン、源氏物語の中では数少ないドタバタ劇です。本妻の気持ちを考えると切ないものがありますが、女の気持ちを無視して灰だらけにされる髭黒を思い浮かべると、かなり滑稽です。

翌日、髭黒はもう一度玉鬘のところに行くため、焦げ臭い体を洗ったり、衣装を着替えたり必死です。お手つきの女房には「手のひらを返したような仕打ちは見ている私たちですら穏やかな気持にはなれません」といわてしまいます。髭黒自身がもう少し緩やかに事を運べばこんなことにはならなかったのかもしれません。性急すぎる結婚とその後の行動が招いた失敗、ともいえるでしょう。(この項終わり) 

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載いたしました。

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