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「源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学32」 物語一のモテ女、どうするどうなる?(2)

■まさか、あの男となんて!

玉鬘と男たちの関係は玉鬘が適度にあしらうことにより、微妙な均衡を保って続いていくように見えていました。

ところが、急転直下の出来事。男たちの恋文が続々届いているとした「藤袴」の巻の次、「真木柱」の巻は光源氏が髭黒右大将に「帝がお聞きになるのも畏れ多い。しばらくは世間にも知らさないように」と注意を与えているシーンから始まります。

読んでいる方としては「え゛?」という感じです。この台詞の後に続く玉鬘は「思いもよらない悲しい運命だわ」と嘆いています。そこから、玉鬘が髭黒右大将と望まぬ関係を結ばされたことが分かります。読者としては「何それ!?」といいたくなります。

髭黒は見れば見るほど美しい玉鬘の様子に大満足。「 石山の仏をも、 弁の御許をも、並べて預かまほしう思へど」とあるところを見ると、どうやら弁の御許(べんのおもと)という女房が髭黒を手引きしたようです。彼にすれば望みに望んだ若く美しい妻が手に入るのですから有頂天です。それに比して玉鬘は嘆き悲しんでいる様子。弁の御許のこともとても不愉快に思っているので、この女房は玉鬘のところに出ていくこともできません。

望まぬ結婚の初夜、玉鬘はどれほど驚いたことでしょう。痛ましい夜だったに違いありません。光源氏もこのような成り行きに不満を抱き、口惜しく思っています。それでも何とか耐えて、結婚の儀式は華やかに、立派に執り行ったのでした。

玉鬘も光源氏も喜べない結婚。父の内大臣は実のところちょっとほっとしています。内大臣の娘は冷泉帝のお后の一人、弘徽殿女御です。もし、玉鬘が宮仕えに出て帝の寵愛を受けることになれば、自分の娘同士で帝の愛を競わなければいけません。それは内大臣にとって不本意なことでした。

新しい妻を得て有頂天の髭黒は、昼間も光源氏邸の玉鬘のところに入り浸って彼女に夢中です。いままで堅物として知られてきた男ですが、ここへ来てすっかりめろめろになってしまったようです。そんなふるまいも疎ましくて、玉鬘はふさぎ込んでいます。彼女は在宅で尚侍という女官の仕事を始めましたが、彼女の部下たちが参上してもその様子は明らかです。だれからも見ても玉鬘がこの結婚を望んでいなかったことが分かります。

こうしてみると、王朝の女性たちの運命は、女房の判断一つで変わることもあるのだと分かります。もし、弁の御許が髭黒の申し出に乗らず、拒み通していたら、もしかしたら玉鬘は冷泉帝の寵愛を受けることになったかもしれません。何しろ物語一のモテ女ですから。髭黒との結婚が成功だったか失敗だったかはあとにならなければ分かりませんが、いまの玉鬘はきっと「女房選びを失敗した」と思っていることでしょう。(この項終わり) 

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載いたしました。

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