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「源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学28」 元カノの娘がやってきた?(1)

Yamabuki

今回も前回に続き、光源氏らの子ども世代の登場です。

■夕顔の露のゆかりのその後

光源氏35歳の秋。以前から造営していた六條院が完成しました。六條院は六条御息所の邸を取り入れて作られた大邸宅です。広大な敷地を春の町、夏の町、秋の町、冬の町に四等分し、春の町には紫の上、夏の町には花散里、もと六条御息所の邸の秋の町にはその娘の秋好中宮、冬の町には明石の君がそれぞれ入居しました。光源氏の栄華を体現した邸です。このあと源氏物語の舞台の中心は、この六條院に変わります。

さて、六條院へのお引っ越しのしばらく前。都から遠く離れた肥前で、ある事件が起こっていました。みなさま、光源氏が17歳の時、熱烈な恋をした上、突然世を去ってしまった夕顔という女性を覚えてらっしゃるでしょうか。光源氏はいまでも「彼女が生きていれば」と思うことがあったようです。

この夕顔には頭中将(現内大臣)との間に生まれた娘がいました。その名を玉鬘(たまかずら)と呼びましょう。しかし、夕顔の死後、消息不明になっていました。実は、夕顔の行方がわからなくなったため、乳母の夫が太宰府へ赴任するのに伴い、筑紫の国(いまの福岡県)に連れて行かれてしまったのです。それから10数年、乳母の夫は亡くなり「玉鬘を都へお連れするように」という遺言だけが生きています。乳母は玉鬘を大切に育てましたが、なかなか都へ戻れません。そうする間にも玉鬘は美しく、気高く成長していきます。血筋のせいか、母・夕顔より上品に見えます。

現在は肥前に住む美しい玉鬘の噂は自然に外へ漏れ、田舎の男たちが聞きつけてラブレターをよこします。でも、都へ帰って父の内大臣(頭中将)との再会を目標にしている乳母たちは誰も相手にせず、体に障害があるから結婚はさせず尼にすると言いふらして、男を寄せ付けないようにしていました。

そんな中、一人非常に熱心な求婚者がいました。この男は肥後の国に住む 大夫監(たゆうのげん)という武士。無骨ですが、女好きできれいな女性をたくさん集めて妻にしようと考えていました。彼が玉鬘の噂を聞きつけ、少々障害があってもかまわないから妻にしたいといってきたのです。いつも通り断る乳母。

しかし、 大夫監は乳母の息子たちを抱き込み、説得にかからせました。田舎なまり丸出しの手紙が来るだけならだけならまだよかったのですが、とうとう乳母の息子が 大夫監を邸まで連れてきてしまいました。

大夫監は背が高く太っていて、血色がよく見苦しくはありません。でも、どことなく荒々しくて、声もがらがらしているし、やっぱり都人の雅さはありません。がらがら声のまま、乳母に「自分と結婚すればお后様のような扱いをする」ともっともらしいことを述べます。体が不自由だといえば「目が見えなくても、足が折れていても自分が直そう」と大言壮語します。勝手に結婚の日取りを決めるので、乳母はそれを先延ばしにするのがやっとでした。

さらに 大夫監は和歌をひねり出して得意気です。乳母は娘たちに何とか返歌を読ませて切り抜けました。 大夫監はご機嫌でもう一首和歌を詠もうとしましたが、できなかったようで、そのまま帰ってしまいました。

さあ、このままでは 大夫監と結婚しなくてはいけません。乳母は 大夫監に抱き込まれなかった長男や娘たちと筑紫を逃げ出すことにしました。長女は家族が増えすぎて現地にとどまります。次女は夫を捨てることに。一家離散です。一行は早舟で都へ上りました。到着したのは川尻という淀川の河口。さらにそこから京へ入りました。(次回に続く)

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載いたしました。

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