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「源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学26」身から出た錆だらけの光源氏(1)

■昔の恋心再燃に悩む紫の上

さて、光源氏32歳の秋から冬。もう、若く美しき貴公子ではありません。いまの感覚ならプラス10歳ぐらいの感じでしょうか。もう中年、オッサンといっていい年ごろになっています。そんな年になって、光源氏は昔の恋をどこからかひっぱっりだしてきて、身を焦がしているようです。

光源氏には朝顔の姫君と呼ばれる従姉妹がいました。この人は桃園式部卿宮の娘で、一時賀茂の斎院として仕えていたため、朝顔斎院とも呼ばれます。「朝顔」というのは、光源氏が昔、帚木の巻でこの人に朝顔の花と歌を送った話が出てきたためこの名が付けられています。ということは、ずいぶん古いつきあいの二人ですが、いまだに男女関係にはなっていません。葵の上の死後はこの人が正妻か?という噂もあったのですが、ずっとずっと朝顔の姫君が光源氏を拒んでいるのです。

といっても、頑なに拒否するのではなく、常に一定の距離を保っているという感じ。だから光源氏から手紙をもらえばそれなりに返事も出していました。男女の関係になったら、ほかの愛人たち同様苦しい思いをするのではないか、それよりも光源氏から常に求められる存在でありたい、美しい関係を保ちたいと彼女は考えたようです。特に六条御息所の事件がショッキングだったようで、それ以降は手紙の返事も出さなくなってしまいました。

そんな朝顔の姫君に、光源氏がまたモーションをかけ始めました。藤壺を失ってしまった心の隙間を埋めたいという衝動が光源氏を突き動かしたのでしょう。「朝顔」の巻で、光源氏は朝顔の姫君にしつこく言い寄ります。もちろん、朝顔の姫君の気持ちは以前と変わりません。光源氏のことをキライではないのです。だけど、やはり受け入れることはありませんでした。

このことは世間の噂にもなり、自然に紫の上の耳にも入ります。「長年寵愛されてきたのに、もし彼の気持ちが朝顔の姫君に移ってしまったらどうなるの?いままで誰に負けることもなくここまで来たのに、いまになってこんな…。もし、軽々しく扱われるようになったら…」紫の上は心乱れます。

しかも光源氏はこの恋を紫の上には隠しています。そのことが余計紫の上を物思いにふけらせます。軽いやきもちなら冗談めかして口にすることもできますが、事態を深刻に受け止めた紫の上は、むしろこの問題には触れないのでした。(次回へ続く)

Saiouzakura

写真は季節外れですが、以前にもご紹介した斎王桜。一応、朝顔姫君は賀茂の斎院だったということで…

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載いたしました。

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