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京都御所 シリーズ4 双六をする女房たち

Sugoroku

久々の京都御所シリーズ。一般公開では人形で女房たちの暮らしぶりも展示されていた。
写真はその中のひとつ、双六の場面である。

双六は盤の上に白黒の駒を並べ、賽を振って相手の陣に自分の駒を早く入れたものが勝ちという、中国から伝わったゲームだ。ゲーム盤の上を駒を動かして、一回休んだり、5つ進んだりする現在の双六とはかなり勝手が違う。バックギャモンの原形ともいわれる。

源氏物語では光源氏の須磨の邸や椎本の夕霧の山荘に双六盤が登場する。
しかし、一番イキイキと描かれているのが、「常夏」の近江の君と五節の君の双六の場面だろう。

近江の君は内大臣(元頭中将)の娘。早口で、どうにもお育ちがあれなお嬢さんだ。内大臣自身も引き取っては見たものの、その処遇には頭を痛めている。かといって、自分の娘でないとはいえない。どこをどう取っても自分にそっくりなのだ。よくよく見れば見苦しいというほどでもない。そこで、娘の弘徽殿女御に出仕させようと考えた。

ある日、弘徽殿女御を訪れたついでに、近江の君のところにも顔を出した。彼女は従姉妹で女房の五節の君と双六を楽しんでいる最中だった。目に飛び込んできたのは「小賽、小賽」と早口で呪文を唱えながら賽を振る新しい娘の姿。五節の君も「 御返しや、御返しや」を賽を入れる筒をひねくり回して、なかなか降り出そうとはしない。その様子が何とも軽薄そうだ。

「げっ」

内大臣の心の叫びが聞こえるようだ。さぞや頭が痛かったろう。

紫式部は、双六の打ち方ひとつで、近江の君の育ちや性格まで表現している。この人の観察眼には毎度恐れ入るばかりだ。私自身がこの人と同時代に生きていたら、どんな風に書かれたのか、恐ろしくなる。近江の君は双六が好きらしく、その後も若菜下で、双六を打っている。その際には、明石の尼君の幸いにあやかろうと「明石の尼君、明石の尼君」と唱えながら、賽を振りだしている。お育ちはあれだが、まあ、憎めないキャラではある。

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