« 京都御所 シリーズ4 双六をする女房たち | トップページ | 模様替えしました! »

「源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学23」 思い人を奪われ続ける男(1)

Gosho_kaede
京都御所、新緑の楓


■六条御息所の娘の結婚
さて、光源氏31歳の春。彼はある結婚のために東奔西走していました。といっても自分の結婚ではありません。藤壺中宮の子、冷泉帝、つまり、光源氏の秘密の息子の結婚です。お相手はあの、六条御息所のお嬢さん、前斎宮です。六条御息所はかつて、皇太子妃でしたから、このお嬢さんは皇族の血をひく高貴な生まれの超お嬢様です。

この人は六条御息所が生き霊になってしまった「葵」の巻で、伊勢神宮の斎宮になって、母と一緒に伊勢へ下っていました。そのとき、彼女は14歳。それから6年の月日が過ぎ、朱雀帝の譲位に伴って、都に戻ってきたのでした。20歳の美しい盛りです。明石から戻った光源氏は六条御息所と距離を置いていましたが、彼女が重病にかかったと知り、見舞いに訪れました。

死の床にあった六条御息所は光源氏に娘の将来を託します。でも、光源氏の女癖を熟知している六条御息所は、「あなたの愛人のひとりのような扱いはしないでください」と釘を刺すのを忘れませんでした。

その後、六条御息所は息を引き取り、光源氏は前斎宮の親代わりを務めます。「さて、彼女の将来をどうしたものか…」実は、光源氏は斎宮時代から彼女にひとかたならぬ関心があったのです。六条御息所亡き後はいつでも言い寄ることだってできます。でも、六条御息所の遺言が光源氏を押しとどめています。だって、変なことをしたら、六条御息所に祟られそうですものね。

そこで考えたのが、彼女を冷泉帝のお后にすることでした。身分も高く、美貌の誉れ高い前斎宮であれば、お后にしても何ら問題はありません。即位したばかりの冷泉帝はまだ11歳。前斎宮は20歳と年齢差はありましたが「いまは同い年のお后がいるだけなので、年上のしっかりした人を」とか何とか理由を付けてしまいました。

ただ、ひとつ問題がありました。退位した朱雀帝(=朱雀院)が前斎宮に関心を寄せているのです。光源氏はこの件を冷泉帝の母である藤壺に相談しました。藤壺は「六条御息所の遺言にかこつけて、知らないふりをして入内させてしまいなさい」と言い切ります。光源氏の若い恋に翻弄されていた藤壺中宮ですが、意外に策士だったんだな、なんて思わせるシーンです。こうして、前斎宮は冷泉帝のお后になることが決まり、朱雀院は思い人を奪われてしまったのでした。(次回へ続く)

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載いたしました。

あなたの応援が更新の励みになります。よかったらクリックしてね!↓
◇人気ブログランキング◇へ


|

« 京都御所 シリーズ4 双六をする女房たち | トップページ | 模様替えしました! »

古典文学」カテゴリの記事

源氏物語」カテゴリの記事

源氏物語の失敗学」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 京都御所 シリーズ4 双六をする女房たち | トップページ | 模様替えしました! »