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「源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学22」 光源氏に従った男と裏切った男(1)

■かつての不倫相手と偶然の再会
みなさまは光源氏17歳の夏に出会った空蝉をご記憶でしょうか。夫の単身赴任中、方違えに訪れた光源氏と無理矢理関係を結ばされた中流の女性です。その後は光源氏に心ひかれながらも彼を拒否し続け、それによってかえって光源氏の心に強い印象を残しました。

その後、夫とともに伊予に行った彼女は、今度は常陸介になった夫の転勤に伴って常陸の国に下向しました。いまの茨城県あたりです。ここは親王が国のトップになる国です。親王は現地には赴任しないので、次官の常陸介は事実上現地のトップです。空蝉の夫は順当に出世街道を歩んでいたといえるでしょう。もしかしたら光源氏の力添えがあったのかもしれませんが…。彼らは光源氏が明石から戻った翌年の秋、京に戻ってくることになりました。

一方、都の政界に返り咲いた光源氏、いろいろと忙しい日が続いていますが、今度は石山寺に参詣に行くことになりました。石山寺といえば、紫式部が源氏物語の着想を得たという伝説のあるお寺。長谷寺や清水寺と並ぶ観音霊場として知られ、多くの人が参拝に訪れました。「枕草子」や「蜻蛉日記」などにも登場する、当時の人気スポットです。

常陸介一行が滋賀県の逢坂の関を通過する日、まさに光源氏は石山寺に向かっており、途中二組が出会います。さすがにこのような偶然はできすぎていて、お話だなという感じですが、時は9月30日。紅葉が美しい晩秋の風情豊かな舞台装置。そこで訳ありな男女の再会です。さて、不倫再燃か?というとそういうわけではありません。

常陸介一行は車を止め、あちこちの木下などに車を止め、光源氏の通過をかしこまって見送ろうとしています。車に隠されて姿は見えませんが、その中には空蝉もいることでしょう。地方長官とはいえ、部族も多く華やかでその権勢の一端がかいま見えます。通り過ぎる光源氏もその一行が誰かは承知しています。

光源氏もさすがに感じるものがあったのか、一行の中にいた右衛門佐を呼び寄せました。この右衛門佐はかつて小君と呼ばれた空蝉の弟。当時は12、3歳の少年でしたが、あれから12年、いまは立派な青年に成長しています。「きょう、こうやってお出迎えに来た私のことをお姉さんは無視したりしないだろうね」などと伝言を伝えます。それを聞いた空蝉も当時のことを思い出し、胸がいっぱいになるのでした。(次回に続く)

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