近江八幡・酒游館
滋賀県は、中央に日本一の湖・琵琶湖を擁する近畿の水瓶。京都の陰に隠れていささか地味に感じるが、史跡や国宝、重要文化財も多く、おいしいものにも恵まれている。
近江名物といえば、ふなずしだとか、鮎の甘露煮だとか、いろいろあるけれども、私は「赤コンニャク」が好きだ。コンニャクといえば、灰色か白が定番だが、近江八幡では「赤」と決まっている。べんがら塗のような、ちょっと錆びた赤はコンニャクとしてみると衝撃的だが、これを土佐煮にすると実においしい。別に唐辛子が入っているわけではない。その由来はよくわかっていないが、ハデ好きの殿様、織田信長に由来するとも言われる。なるほど、コンニャクまで赤がいいというのは、何となく信長っぽい気もする。
ほかに近江の名物といえば、近江牛に、湖の淡水魚、そして近江米。近江八幡なら、丁字麩もうまい。そうした近江の味がぎゅっとひとまとめに詰まったのが、近江八幡の酒游館の「ことぶき膳(梅)」(2520円)。同店は西勝酒造が営業している。享保二年(1717年)創業の老舗の造り酒屋。店舗は酒を熟成させる蔵を改装したもの。
料理は一膳一重。お膳には近江牛のしぐれ煮や赤だし、炊き合わせ。お重には近江牛のたたき、赤コンニャクの土佐煮、丁字麩の芥子酢みそ和え、鮎の甘露煮など、近江名物がぎっしり。もちろん、ご飯のお米は近江米に違いない。さらに食前酒として西勝酒造の酒が付いてくる。私たちの時は「風花」という濁り酒が供された。こうして並べると、近江の食の豊かさがよくわかる。織田信長も賞味したであろう濁り酒や赤コンニャク。近江の歴史に思いをはせようと思ったけど、酔いに霞んだ頭は目の前の美味に気を取られるばかりだった。
■523-0862 滋賀県近江八幡市仲屋町中21
■(0748)32-2054 FAX(0748)32-6336
■午前10:30〜午後5:00 火曜定休
http://www.shuyukan.com/index.html
写真は「ことぶき膳」のお重。
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