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源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学18 明石入道は失敗したのか?(1)

前回、朧月夜との密会が露顕して、大変なことになりそうな光源氏でしたが、あれからどうしているのでしょうか?

■明石に住む変わり者

と、光源氏のことを書こうと思いましたが、ちょっとここで初登場の人物をご紹介しましょう。表題にもある「明石入道」。入道とあるから、お坊さんです。この人は大臣家の出身で、かつては近衛中将にまでなりましたが、その位を捨て、播磨の国の国司になった人。国司というのは受領で、いまの知事みたいなものですね。中央の貴族に比べるとずいぶん階級、身分が劣ります。ですから、大臣家の子息が受領になるなど、当時は考えられないこと。それをあえてしてしまったこの人は、かなり変わり者だということがわかります。いまは出家して明石に住み着いています。

この人には一人娘がおり、それはそれは大切に、まるで都の貴族のように育てていました。まあ、自身が大臣家の出身ですから、貴族のあるべき姿はよくわかっていたのでしょう。娘は美しく育ち、地元の国司などから結婚の申し込みを受けたりしていますが、入道は一切承知しません。娘は高貴な人と結婚させようと理想を持っている様子。娘には「もし自分が死んで、希望しない結婚でもすることになったら海に入って死んでしまえ」といっているぐらいです。やっぱり、変人ですね。

それから、この人の血筋にもちょっと触れておきましょう。大臣家の出身といいましたが、この人の叔父は按察大納言(=光源氏の母・桐壺更衣の父)。ということは、桐壺更衣とはいとこ同士に当たります。光源氏とはまったく縁がないわけでもありません。

一方、光源氏。密会が露顕してから、帝への謀反の疑いをかけられ、官位は剥奪されて、さらに流罪にされそうな雰囲気になって、思い切って須磨に退くことになりました。明石入道が暮らす明石とは目と鼻の先です。明石入道は娘を光源氏に縁づけようと考え、須磨へ迎えをよこします。ちょうど暴風雨で落雷に遭い、家が焼けたりして弱っていた光源氏たちは、この誘いに乗り、明石に移り住みました。(次回へ続く)

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