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源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学17 大変!情事がばれちゃった(1)

■逢瀬を続ける王朝のロミオとジュリエット

ずいぶん前の話になりますが、花の宴の折、弘徽殿の細殿で光源氏と出会って恋に落ちたお嬢さんを覚えてらっしゃるでしょうか。彼女の名前は朧月夜。朧月夜の歌を歌っていたたのでこう呼ばれます。光源氏の政敵、右大臣の娘にして、母をいじめ抜いた弘徽殿大后の妹。しかも弘徽殿女御の息子の皇太子のお妃になることが決まっていたのに、光源氏がキズモノにしちゃったので、それもかなわなくなってしまったという、まるでロミオとジュリエットのような、因縁浅からぬお相手です。

右大臣が催す藤の宴で再会した二人は、その後どうなったのでしょうか。彼女は皇太子妃になるのをあきらめ「御匣殿(みくしげどの)」という女官になりました。いわゆるキャリアウーマンですね。この立場にあると、天皇のお手つきになる可能性もあります。でも朧月夜の心はまだ光源氏に向いています。ことの顛末を知った右大臣は、光源氏の正妻の葵の上が亡くなったのを機に、光源氏と朧月夜を結婚させようと考えたりしています。

ところがこれに憤慨しているのが弘徽殿大后。彼女は光源氏を「いと憎し=すごく憎たらしい」と思っているので、大反対。宮仕えをさせながら、天皇の妃にしようと画策しています。このときにはすでに桐壺帝は退位し、弘徽殿大后の息子の朱雀帝が即位しています。その後、桐壺帝が亡くなり、前任者の退職に伴い、朧月夜は尚侍(ないしのかみ)に就任しました。 

尚侍は「内侍司」という後宮の部署の長官です。更衣に準じた役割も持っていました。つまり、天皇の寝所に侍って、妃同様の役割を果たすということです。朱雀帝とは叔母と甥の関係ですが、当時はそういうこともよくあったようです。朱雀帝には格別の寵愛を受ける華やかな身の上ですが、心の中ではいまも光源氏を思い続けているようです。

一方の光源氏も、障壁のある恋ほど燃え上がる性質。二人は密かに手紙をやりとりして、情熱の炎を燃やしています。時には帝が法会のために謹慎しているときに、後宮の一室でデートをしたり、かなり危ない橋を渡っています。まあ、朧月夜はそんな危険を冒してでも会いたくなる、魅力的な女性のようですが。(次回へ続く)

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