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源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学17 大変!情事がばれちゃった(2)

(前回からの続き)

■密事はやがて露顕する

ドラマや小説では、こうした密事はたいてい露顕するものです。源氏物語だって例外ではありません。朧月夜が「瘧病(わらわやみ)」という病気になり、右大臣の邸に退出していたときのことです。体調も回復したころ「滅多にないチャンス」と、光源氏と自分の部屋で毎夜デートを重ねていました。一つ屋根の下には右大臣も、弘徽殿大后もいるようなところなのに、あきれるほど大胆です。光源氏はこんなシチュエーションがきっと燃えるんだと思います。周りの女房たちはやっかいなことを避けたいがために、告げ口したりはしません。

ある日、明け方ごろに激しい雷雨に見舞われました。みんなおびえて家中騒ぐので、光源氏は帰るに帰れません。夜がすっかり明け、雨が小降りになったころ、右大臣がお見舞いにやってきました。雨の音で足跡などが聞こえなかったのか、その訪れは唐突です。大変早口で「大丈夫ですか?心配していたんですよ」などというので、光源氏はつい笑ってしまいます。

朧月夜はあわててベッドルームから出てきたのですが、彼女の着物の裾に男物の帯がまつわりついているではありませんか!あたりにはなにやらラブレターめいた紙なども散らばっています。右大臣は大あわて。「それは誰のだ」と息巻いています。「これほどの立場の人なら、我が子ながら恥ずかしいだろうと考え、それなりに遠慮するものだ」と紫式部は書いていますが、右大臣はそんなことはお構いなし。自ら几帳の奥をのぞき込むと、そこにはしどけなく寝乱れた男の姿。

これを見てあわてた右大臣、めまいがするような気分で、弘徽殿大后に告げ口に行きました。朧月夜は茫然自失、光源氏も困惑しています。そして話を聞かされた弘徽殿大后の怒りのすさまじさ。それは当然でしょう。自分の息子が軽んじられたことにもなるのですから。その激しさは、右大臣に「何で話してしまったんだろう」と後悔させるほどでした。弘徽殿大后は怒りながらも、これを機会に光源氏を排斥しようと、なにやらたくらみ始めた様子です。

もう、これは光源氏の失敗中の失敗のひとつでしょう。密会は秘密にできてこそ密会です。やり方がありますよね。密会のルールを守れなかった光源氏はいよいよ政治生命まで危うくなってきました。(この項終わり)

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載いたしました。

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