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水飯ダイエット

近ごろ、レコーディングダイエットなるものがちまたで話題のようだ。オタキングの岡田斗司夫氏が、1年で50キロも落としたというダイエット方法。彼のやせた姿も衝撃的だったが、そのダイエット方法もデブに悩む人にとっては、福音かも知れない。いや、福音だ。

このダイエット方法が、平安時代にあったら、彼はどうしただろう、と思う人が一人いる。その人は藤原朝成。私は密かにこれが日本初のダイエット記録ではないか、と思っているのだが、宇治拾遺物語の「三条中納言水飯事」(上末二 九四)に登場する三条中納言のことである。

藤原朝成は、三条右大臣藤原定方の息子。宇治拾遺によれば、お勉強はできるし、物知りだし、賢いし、肝っ玉の太い、威圧感のある人で、笙の笛の名人だったと伝えられる。で、そのルックスだ。背が高くてとても太っていたのである。あんまり太りすぎて、苦しくなってきたため、薬師のしげひで(今昔物語では和気重秀)を呼んで、どうすればいいのかたずねた。

重秀は「冬は湯漬け、夏は水漬けで食事をなさいまし」という。湯漬け、水漬けというのは干飯、ご飯を干したものに水をかけて柔らかくしたものや、ご飯に水をかけたもののこと。いわば「水飯ダイエット」ですな。ところが、この男、いうとおりにして水漬けを食べるようにしたけれども、いっこうにやせない。なんでだよ、ということでもう一度重秀を召した。

「いった通りしたけど、その兆候もない。水飯を食べているところを見せよう」ということになった。で、彼の食事風景が出てくるわけだが、食べる食べる。干し瓜を一気食いしたり、鮨鮎(なれ鮨みたいなものか?)を一気に5、6個も食べてみたり、水飯も大きなお椀でざくざく食べたり、おかわりしたり、量も速さもすごいのだ。

これを見て重秀、これではデブはなおらない、と逃げて帰ってしまったとか。その後、朝成はますます太って、お相撲さんみたいになったとさ、というお話。

もし、朝成がレコーディングダイエットをしていたら、ちゃんと自分が何をどれほど食べているか、見直すことができたろうに。そしたら宇治拾遺あたりに「三条中納言いみじうやせたる事」なんて、お話が載ったかもしれない。

ちなみにこのお話、今昔物語の巻第二十八第二十三にも「三条の中納言、水飯を食ひし話」として載っているが、微妙に内容が違うのが興味深い。

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