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源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学11 女の恨み、買うべからず(3)

◆葵の上、退場

季節は八月、もう秋です。出産を終え、弱々しく横たわっている葵の上に、光源氏はいままでにない愛しさを感じています。葵の上も夫の愛を実感し、二人はようやくうち解けた夫婦になりつつありました。

八月は秋のビッグイベント「秋の司召」が行われる時期。いわば当時の大人事異動です。光源氏も左大臣もみんな御所に出かけていきました。ところが、そんなとき、葵の上が急に苦しみはじめ、光源氏たちに知らせる間もなく息を引き取ってしまったのです。ようやく夫と心が通い始めたのに、子どもも産まれてこれからというときに、彼女はあえなく物語から退場してしまいました。

大切な娘が亡くなった左大臣家はもう大騒ぎ。物の怪が取りついていたことを考え、遺体は2〜3日そのままにしておきましたが、どんどん様子が変わっていきます。遺体が朽ちていく様子を見守る家族の姿は凄絶です。8月20日過ぎ、ようやく葬送が行われました。

葵の上の死は、六条御息所が光源氏にさんざん振り回された結果、起こるべくして起こった事件だと言えるでしょう。事件の前、桐壺帝は光源氏に六条御息所の扱いについて忠告しています。「人のため、恥ぢがましき事なく、いづれをも、なだらかにもてなして、女の恨みな負ひそ」つまり、どの女も傷つけぬようにして、恨みを負うなといったところです。ずいぶんさばけた父の教えですが、役には立ちませんでした。今回の教訓は、この桐壺帝のひと言に凝縮されているのではないでしょうか。(この項終わり)

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載いたしました。

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