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源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学10 戸締まり用心、男に用心(2)

(昨日からの続き)
◆私は何をしても許されるのです

人恋しさをもてあましていた光源氏はやれうれしや、と朧月夜の袖をとらえます。薄暗い廊下でこんなことをされたら、誰だってギョッとします。朧月夜は「まあ、怖い!誰なの?」とその振る舞いをとがめますが、光源氏は朧月夜を抱き上げて部屋の中に連れて行き、朧月夜は驚きで一体何が起きたのかと、呆然としています。その様子は可憐で、やはり普通の身分ではなさそう。結構気が強いのか「ここに人が!」と叫ぼうとします。

でも、そんなこと、光源氏はお構いなし。「私は何をしても許されるんだから、人を呼んでも困らないよ。まあ、静かにしてらっしゃい」と、平気です。これ、お坊ちゃまの光源氏だからいえることばです。朧月夜はその声に聞き覚えがありました。昼間の花の宴で、漢詩を吟じていたあの声。そう、光源氏の声。

「この人だったら、いいや」朧月夜がそう思ったかどうかはわかりません。原文では光源氏の声を聞いて「いささか慰めけり」、ちょっとホッとした、と書かれています。相手は当代一の貴公子。あまり物わかりの悪い女とも思われたくないわ、と思ったのか、朧月夜は結局光源氏に身を任せてしまいます。

肌を重ねてみれば、朧月夜は思いのほかに若々しくかわいらしい様子。高貴な姫君独特の気高さと、教養に裏打ちされたエスプリ、ちょっぴりわがままで気が強そうだけどかわいらしい朧月夜の様子に光源氏も彼女と離れがたく思います。でも春の夜は短く、お互いに名前も告げず、扇だけを交換して別れました。

その後、光源氏の乳母子・惟光らの働きで、朧月夜の正体がわかりました。右大臣が催した藤の宴で、二人はようやく再会します。実は朧月夜は弘徽殿の女御の妹。しかも皇太子妃になることが決まっていました。お妃になるはずの娘がキズモノになってしまって、右大臣にとっては大問題。なにやらロミオとジュリエットのような、波乱含みの恋の幕開けです。

今回の教訓、戸締まり、つまり日常生活をきちんとしておかないと、大切な娘がイケナイ男に捕まってしまうかもしれませんよ、というお話。弘徽殿の局の人たちが、もう少しきちんと戸締まりをしていたら、こんなきな臭い関係、始まらなかったかもしれません。(この項終わり)

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載いたしました。

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