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源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学8 衝撃!超年の差カップル誕生(2)

(昨日より続き)
◆ふたりの貴公子の間で揺れるおんなごころ

特にこれを聞いて対抗心を燃やしたのが光源氏の妻の兄・頭中将。彼は光源氏の親友ながら、ことあるごとに張り合うライバルでもありました。以前、光源氏が末摘花に言い寄ったときには、頭中将もやはり対抗して手紙を送ったりしています。頭中将もさすがに源典侍に手を出す気はなかったのですが、光源氏との関係を聞いて源典侍を再評価し、実地検証に及んじゃったみたいです。

もちろん、光源氏に冷たくされてさびしかった源典侍、こちらも当代屈指の貴公子からのお誘いです。乗らないわけがありません。もしかしたら「あたしって、こんなに若い男性から誘われて、まだまだイケテルのね」なんて、勘違いしていたのかも。

源典侍と頭中将の関係は秘密裏に進み、光源氏はまだ気づいていません。源典侍もことあるごとに光源氏の薄情を恨んだり、誘うようなそぶりを見せますが、光源氏もさすがにその気にはならないようです。ところが人はシチュエーションによって心揺れるもの。夕立が過ぎた風情豊かな宵、御所で源典侍が一人琵琶を弾いていました。さすがに名手だけあってつい耳を傾けてしまいます。催馬楽(さいばら)を歌う声もなかなかのもので、これに惹かれて光源氏はふたたび源典侍と夜をともにしてしまいました。

ところが、これをこっそり目撃していた男が!
ふたりがまどろみ始めたころ、男は源典侍の部屋に踏み込みました。物音に気づいた光源氏、これは源典侍の元カレが忍んできたのだと思って、屏風の陰へ隠れます。これを見た侵入者は太刀を抜いてえらく恐ろしげに振る舞います。ふたりの男にはさまれた源典侍はさすがに恋多き女。こんな場面にも多々遭遇してきたのでしょう、侵入者を押さえようと「あが君、あが君(=あなた、あなた)」とすがっています。

最初はとまどい「みっともない姿で逃げていくのはやだな」とか考えていた光源氏、侵入者ともみ合っている途中でようやくその正体に気づきました。男はふたりの様子をうかがっていた頭中将。こうなればもう、ほとんどじゃれ合いです。お互い袖がちぎれたり、帯がほどけたり、青年貴公子も見る影なし。ボロボロになったふたりは、そろって帰って行きました。その後ろ姿を見送る源典侍、ちょっぴり女冥利に感じていたかもしれませんね。

このエピソードは源氏物語の中でも珍しいドタバタです。でも、そんな中でもみんな歌を詠んでいるのはさすが王朝物語。雅は決して忘れません。さらに、こんなことがあった後も源典侍は光源氏を追いかけ回していたと物語は伝えます。うーん、ある意味ストーカーですね。この人。

ところで、源氏物語には様々なモデルが考えられていますが、この源典侍のモデルは何と紫式部の兄嫁だったとか。おなじく源典侍と呼ばれていた兄嫁は物語のおかげで宮中にいたたまれなくなり、典侍の職を辞したとも伝えられています。もしそうであれば、紫式部ってずいぶん罪作りです。

本日の教訓、超年上の女に手を出すときは、それなりに覚悟を決めましょう。加えて、小説家にはモデルにされないようにしましょう(←こじつけ)。(この項終わり)

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載いたしました。

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