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源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学5 末摘花の巻 やっぱり、うわさを信じちゃいけないよ(1)

今回ご紹介するのは源氏物語一の不美人、末摘花と呼ばれる女性のお話です(巻数的には若紫の方が先ですが、今回は末摘花をご紹介します)。

◆没落貴族の娘って、ロマンチック…

光源氏18歳の春です。このころ、光源氏は生涯の伴侶になる若紫と出会ったり、父の妻で長い間思い続けてきた藤壺の女御と密会したり、いろいろすったもんだがあります。そのお話は次回以降に譲るとして、あれこれ忙しい合間に、また新しい恋を求めていました。

以前悪友同士で女性論を戦わせたとき、中流の女がいいという話が出ました。以来、光源氏は中流の女性に興味津々。彼らのいう中流とは受領(地方の知事ぐらいの地位)の娘や没落貴族の娘など。あの夕顔も中流の部類に入るでしょう。彼女の死以来、中流の女性からは遠ざかっていた光源氏のもとに、久々に中流女性の情報がもたらされます。

こんどは没落貴族のお嬢さんです。故常陸宮の姫君でいまは古びた屋敷で琴の琴(きんのこと)を友にひっそり暮らしているとか。没落貴族の娘って、何となく薄幸そうでロマンチックです。彼女の情報を聞いた光源氏はさっそく猛烈なアプローチを開始します。でも、彼女の周囲のスタッフは気の利かない老女房ばかり。男女の機微など姫君に教えているわけがありません。はかばかしい返事が得られず、光源氏は業を煮やして姫君の屋敷を訪れました。

語りかけても当然ろくな返事は帰ってきません。その姿を「なんて慎ましい!これぞ深窓の姫君だ」と勘違いした光源氏、とうとう強引に彼女と関係を持ってしまったのです。とはいっても灯りの乏しい当時のことですから、彼女の容姿はよくわかりません。おまけに反応も鈍くてマグロっぽい彼女に光源氏もがっかり。その後しばらくは彼女のことを捨てておく始末です。

だけど、光源氏のいいところは一度関係を持った女性を完全に見捨てたりしない点。ある冬の日、彼女の家をもう一度訪ねました。そのとき垣間見た屋敷内はぼろぼろで、女房たちの衣装も薄汚れ、食べるものもろくにない様子でした。(明日に続く)

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載いたしました。

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