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源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学4 女をないがしろにすると怖い目に遭いますよ(2)

(昨日からの続き)
◆そして真夜中 恐怖が…

光源氏は自分の身分を隠し、顔を隠して彼女のところへ足繁く通っています。年上の恋人の六条御息所のことなんてどこへやら。夕顔の家の周囲は比較的身分の低い人たちが住んでいて、周りからは生活の音が聞こえてくるようなところ。そんな光景もお坊ちゃんの光源氏には珍しく感じるのでした。

八月十五夜の夜、光源氏はもっと静かなところでふたりきりになりたいと、夕顔を某の院というところへ彼女を連れ出します。お供は彼女の侍女ひとりだけ。ここで思いっきり戯れようという算段。某の院は光源氏の別邸とされていて、日ごろは管理人がいるだけの荒廃した屋敷です。荒れ果てた雰囲気にちょっと怖がって甘える夕顔の様子もまたかわいらしいと、光源氏はもうめろめろ。

さて、戯れの限りを尽くし、夜更けて眠りについたふたり。光源氏は枕元に美しい女が座っている夢を見ます。女は「私がこんなにお慕いしているのに、こんな女を愛するなんてひどい」とか何とか、恨み言を吐きながら夕顔を起こそうとしています。あわてて目を覚ますと、灯りが消えたりして、物の怪の気配。光源氏はおろおろしながら管理人を呼んだり、侍女を励ましたりしていましたが、はっと気づくと夕顔が息をしていません。原文でははっきりとは触れていませんが、この物の怪は六条御息所だと暗示されています。

ようやく朝になって惟光が来てくれました。光源氏は泣くわ悲しむわ、馬から落ちるわで色男も台無し。すっかり弱って寝込んでしまいました。恋の絶頂から悲しみのどん底へ。夕顔は光源氏の心に忘れ得ぬ思いを刻んで、物語から退場していきました。

なお、この夕顔、葵の上の兄・頭中将の元恋人だということがわかりました。頭中将との間には娘まで生まれていたのですが、頭中将の妻の嫌がらせにあって身を隠していたのだとか。恋人や妻をないがしろにしてほかの女に心奪われていると、怖い目に遭うかもしれないよ、というのが本日の(強引な)教訓です。世の殿方、どうぞご注意を。
(この項終わり)

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載いたしました。

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