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源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学7 気位の高い妻とうち解けられない夫(1)

◆お妃候補だったのに…

さて、光源氏の結婚については以前ちらりと書いたことがありました。彼は12歳で元服した際、4歳年上の葵の上と結婚します。彼女の父は左大臣。母は光源氏の父・桐壺帝の妹。つまり、光源氏のおばさんの娘=いとこということになります。ああ、人間関係が錯綜していますね。

ともかく、彼女は民間人では最高クラスのお嬢様。美人で誇り高く、教養も十分な彼女は皇后になってもおかしくない立場です。実際、当時の皇太子から妃にと望まれています(皇太子の祖父は左大臣の政敵、右大臣です)。ところが桐壺帝の意向によって光源氏の妻になりました。左大臣にとっては帝の覚えがめでたくなり、政略としては成功に思えます。

でも、光源氏と葵の上にとってはそれが間違いだったかも。結婚当初から二人の間はぎくしゃくしていました。末は皇太子妃、と育てられていたはずの葵の上にすれば、何で光源氏と結婚しなきゃいけないんだろう、という感じです。いくら光源氏のルックスがよくても、才能にあふれていても、桐壺帝に寵愛されていても、臣下と皇太子では雲泥の差があります。

もし、葵上が皇太子に嫁いでいたら、彼女の人生はまったく違っていたでしょう。高い身分と美ぼうと教養を兼ね備えた彼女は内裏でも重んじられたはずです。宮中にライバル多しとはいえ、彼女にかなう人はなかなかいません。男の子を生んだら、その子は天皇に、彼女は国母になる立場の人です。

しかし、夫は臣下で4歳も年下。どうも結婚当初から、葵の上は自分の方が年上だということを気にしていたようです。そんな気持ちが、よけいに彼女をかたくなにしたのかもしれません。光源氏が訪れても、女房たちに囲まれて端然と座っているだけ。たまに話をしても、他人行儀。

◆堅苦しい妻にうんざり

一方、光源氏もお堅くてうち解けない雰囲気の葵の上になじめないものを感じているようです。恋のアバンチュールなら、いくらでも口から出まかせの愛のことばが出てくる光源氏も、葵の上相手ではどうも勝手が違います。話しかけてもかえってくる返事はタカビーで、会話もスムーズには展開しません。自然に葵の上を訪れる頻度も少なくなり、余計に二人の関係はこじれていきました。

そんなある日、葵の上の耳に飛び込んできたのは、光源氏が自邸に女性を引き取ったといううわさ。当時10歳の紫上のことですが、大人の女性だとか、光源氏はいずれこの人を正妻にするだろうとか、うわさはいい加減な方向にふくらみます。葵の上にしたら聞き捨てなりません。(明日に続く)

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載いたしました。

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